真水稔生の『ソフビ大好き!』


第193回 「ほとんどビョーキ」  2020.2

先日、
何やら脇腹に違和感を覚えたと思ったら
急に腰が痛みだし、トイレに行くと血尿が出ました。

・・・尿路結石です、またしても。

初めて患ったのは、2年と4か月前。
激痛にのたうち回ったあげく救急車で病院に運ばれた事を
第165回「気力のメカニズム ~肛門から始まる時間旅行~」の中で述べましたが、
あれ以来、2度目の受難となりました。

ただ、
その初めて患った際に、完治はしたものの、

 「まだ、腎臓に(結石の)予備軍がいくつかありますから、今後も発症する可能性があります」

とドクターから告げられていたので、
ある程度覚悟してましたし、
今回は
のたうち回るほどの激痛ではなかったので(いわゆる、鈍痛でした)、
救急車を呼ぶ事もなく、
割と冷静に、自力で病院に行く事が出来ました。

診断の結果も、

 特に手術等の必要は無く、
 水分をたくさん摂っていれば、そのうちオシッコと一緒に出るでしょう、

というものでしたので、
まぁ、とりあえず大事には至っていない・・・のですが、

ですが、です。

激痛ではない、というだけで、腰が痛い事に変わりはありませんし、
急に前回のような激痛に変化する可能性だってあるそうですから、油断は出来ません。
石が出るまでは、
不自由で不安で憂鬱な、苦しい毎日を送らなければならないのです。

そこで、今回は、
1日も早く、僕のオチンチンから石が出る事を祈りつつ、
オチンチンにちなんで、カメストーンのソフビを紹介します。

・・・くだらないですか? スミマセン(苦笑)。

いやぁ~、でも、
そんなくだらない事でも考えてないと、気が滅入ってしまいますのでね。

尿路結石だけでなく、
現在、僕は目の病気も患ってますし(第189回「目」参照)、
“老い” で体にガタが来てるからでしょうけど、
なんか、50歳を過ぎてから、やたらと病気や怪我をしてばかりの日々ですので、
ここは殊更に意識して、明るい気持ちを持とうと思うのであります。
病は気から、って言いますし・・・。

それに、
どんなにくだらない理由やこじつけからでも、
この『ソフビ大好き!』の原稿を書きさえすれば、
懐かしい昭和のソフビに癒され、少年の日の夢が胸に甦り、
自ずと少しは元気も出てくるはずですからね。

ですので、
まぁ、お見舞いのつもりで(笑)お付き合い頂ければ、幸いでございます。


   

カメストーンは、
『仮面ライダー』第50話
「怪人カメストーンの殺人オーロラ作戦」に登場した、亀の怪人。

サブタイトルにある “殺人オーロラ” とは、
カメストーンが右手の指先から発する発光現象の事で、
見た者の視神経を傷つけ、さらには肉体をも腐敗させる作用があり、
我らが一文字隼人も、視力を奪われ、入院する事態に追い込まれました。

     
それでも悪と闘わなければならない身の上、
一文字隼人は、夜中に病室を抜け出し、
聴覚だけを使ってオートバイを走らせて、
目が見えない状態でも闘える、自身の改造人間としての能力を確認し、
来るべきカメストーンへのリベンジ戦に備えていました。

悲壮な覚悟を胸に秘めたその雄々しい姿に、

 「さすが、一文字隼人! やっぱり仮面ライダーは凄い!」

と、テレビの前でめちゃくちゃシビれたものです。

・・・大人になってから観たら、
夜中に一文字隼人がオートバイで走り回っていたのは
病院の敷地内でしたので、

 なんて非常識で傍迷惑な・・・、

と呆れてしまいましたけどね(笑)。

・・・まぁ、でも、
世界の平和と人類の命が懸かってますからね、一文字隼人の復活には。
爆音に飛び起きたであろう入院患者の人たちも、きっと許してくれたでしょう。 
立花のおやっさんも黙認してましたし・・・。

 






バンダイ製、全長約24センチ。

      造形、彩色、ともに、
実物のカメストーンに近いものになっていて、カッコいい人形です。
      特に顔は、
右目のやや吊り上がった感じが実物とそっくりで、
見つめていると、
劇中、カメストーンが発する、

 「綺麗で惚れ惚れするようなオーロラだろ?」

っていう、
あの、冷血かつ嫌味な台詞が聞こえてくるような気がします。



                 


  ・・・あ、そうそう、
カメストーンは、
殺人オーロラを発する以外にも、
背中の甲羅を取り外して投げつけてくる、という攻撃もします。
   
  破壊力のある恐ろしい武器でしたが、
それを投げ返されてしまい、
一瞬怯んだところにライダーキックを浴びせられ爆死、という最期を遂げました。

派手で解りやすいバトルは、2号ライダーの真骨頂、
そして、
恐怖や迫力の中にも鈍臭い一面を見せるのが、ショッカー怪人の真骨頂(笑)、
このカメストーンのやられ方は、
カッコよくて面白くて、子供心にとても印象的だったシーンのひとつです。
  また、

 殺人オーロラのせいで失われていたライダー(一文字隼人)の視力が
 カメストーンの絶命によって瞬時に治る、

っていう安心な展開も良いですね。 ショッカー、って実は優しい(笑)。 
   


 

こちらは、
そんな優しさが外見に滲み出ているような(笑)、
ミニサイズの人形。

ポピー製、全長約11センチ。

上のスタンダードサイズの人形と同じで
実物に近い造形・彩色をしていますが、
やっぱ、昭和のミニソフビ、
チープゆえに
なんともいたいけで可愛らしく、
温かみを感じます。 
 




そういえば、
『ちびまる子ちゃん』に、

 カルビーのライダースナックを買ったまる子が
 大好きな一文字隼人のカードが入っている事を期待して封を開けるも、
 出てきたのが
 カメストーンのカード(64番ですね、あれは)だったので
 ガッカリする、

ってシーンがあって、思わず吹き出した事があります。

おそらく、
作者であるさくらももこ先生(僕と同世代)の
子供の頃の思い出(実話)に基づくものでしょうが、
あれは、
ショッカー怪人の魅力が、
所詮、女子には解らぬ “男のロマン” である事が描かれた、
名シーンだったと思いますね(笑)。 
同じカードがダブってでもない限り、
カメストーンのカードが出てガッカリするなんて事は、僕ら男子には絶対無かったですから。
      怖いけど哀しくて、
カッコいいけど滑稽で・・・、
ショッカー怪人の魅力は、
誠にもって滋味豊かなものなのです。

この美意識を持てないとは、
女、って、
なんて卑俗でつまらない生き物なのでしょう(笑)。

男に生まれてきて良かったぁ~。



・・・というわけで今回は、
再び尿路結石を患った事から
カメストーンのピックアップに繋げましたが、
そういえば、
冒頭で述べたように、現在、僕は眼科にも通っていますので、
そっちの病気でも、
カメストーンに繋がっていた事になります。

う~ん、運命的(笑)。


・・・あれ?
なんか、気分がいいぞ・・・。
すごく楽しいぞ・・・。 どうしたンだ?


あぁ、そうかぁ~、・・・そうなンですよねぇ~。
僕ねぇ、
ショッカー怪人の事を考えると、めっちゃワクワクしてくるンですよぉ~。
それはもう尋常じゃないほどに・・・。
ときめきが止まらなくなるンです。

病気ばっかりして塞ぎ込みそうだったから、
少しでも元気を出そうと思って書き始めた原稿でしたが、
ソフビ片手に
カメストーンの事をいろいろ思い出してたら、
いつのまにかエンジン全開。
病気による鬱屈なんて、どこかへ吹き飛んでいってしまい、
“少しでも元気に” どころか、
“すこぶる元気に” になっちゃいました。


やっぱ、『仮面ライダー』は偉大だなぁ・・・。

血も凍る恐怖で迫ってきながらも
必ず最後は痛快に敗れ去ってくれる “気の利く悪魔”(笑)、ショッカー怪人・・・、
その素敵なスーパーエネミーが棲む架空の世界は、
幼い日の僕に、
どうやら、
永久に夢見る事が出来る、こんなにも強く美しい力を、授けてくれたようです。

あぁ、ショッカー怪人、サイコー! 大好きーっ!

ショッカー怪人への愛や憧れがある限り、僕の心は、一生健康です。


・・・逆に、何か “別の病気” かな?(笑)





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