真水稔生の『ソフビ大好き!


第194回 「ほとんどビョーキ・その2」  2020.03

新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、
小中高の臨時休校や
コンサートから春の選抜高校野球に至るまであらゆるイベントの中止など、
大変な世の中になっていますが、
感染者数が全国で2番目に多いと言われているここ愛知県に住んでいる僕も、
決まっていた朗読劇の公演が中止になるわ、
所属している草野球連盟のリーグ戦も休止になるわ、
いわば仕事も趣味も取り上げられた状態で、不安で不自由な毎日を送っています。

未曽有の感染症ゆえ、万全な予防対策が無く、
一般的に言われている事を最低限守るしか術はありませんが、
手洗いやうがいなんて、子供の頃からずっとやってるし、
体調管理も、日頃から食事や睡眠時間に人一倍気を遣って暮らしているので、
今、僕が、感染しないために改めて気をつける事といったら、

 なるべく人ゴミの中には出向かないようにする、

くらいの事。

なので、今日も、
特に何をするわけでなく、家の中で独り、ボーッとしている次第です。


・・・え?
元々そういう生活だったじゃないか、って?

放っといて!

・・・いや、放っとかないで!
今月も、この『ソフビ大好き!』にお付き合い頂きたいので・・・(笑)。
よろしくお願いします。


・・・さて、
そんな今日この頃、“アマビエ” なるものがSNS上で話題となっております。

アマビエとは、

 江戸時代後期(1846年)、
 肥後(熊本県)の海から突如として現れ、

  「私は海中に住むアマビエというものである。
   当年から六か年の間、諸国豊作となるが、病が流行する。
   早々に私の写しを人々に見せよ」

 と予言めいた事を言い残し、再び海の中へ消えた、

と伝わる、
人魚のような姿をした妖怪です。

僕のような妖怪好きには馴染みでも、
一般的にはほとんど知られていなかったこの妖怪が、
なぜ、今、SNS上で話題になっているのか、
といいますと、
何あろう、
冒頭で述べた新型コロナウイルスの影響なンですよね。

アマビエが言った「病が流行する」が
現在の新型コロナウイルスの感染拡大と重なる事から、
アマビエについてツイートする人が先月からちらほらと現れ始め、
今月に入ると、
その “お告げ” に従い
アマビエの絵を描いてツイッターに投稿する、という行為に及ぶ人が続出。
あっという間に人気爆発となったのです。
今では、
検索すれば、いろんなアマビエの絵が出てくる事態。ラテアートや3Dモデルまであります。

その勢いは更に加速して、
ゆかりの地・熊本では、
地元のデザイン事務所が、急遽、アマビエの絵のキーホルダーを作製・販売し、
全国からの注文が殺到しているとか・・・。

いやぁ~、凄いです。

嬉しいですね、こういう状況は。
だって、
この『ソフビ大好き!』でもこれまで幾度か述べてきたとおり、
“妖怪” は、
民間伝承・文化風土の上に生まれ形成されてきたものゆえ、
知れば知るほど、
面白いし、生きてる事への感謝も湧いてくるし、優しい気持ちになれるものですから。

 一人でも多くの人が、
 妖怪に興味を持ち、妖怪を楽しみ、妖怪を愛せば、
 その分だけ世の中は平和になる、

と、僕は常々思っています。

この “アマビエブーム” も、
人智を超えた力でウイルス撲滅、とまではいかないまでも、
アマビエという妖怪の存在が、
重苦しい日常の中、一服の清涼剤として機能し、
多くの人々の心を励まし元気づけてくれている事は、間違いありません。

もっともっと、アマビエの絵を描いて披露する人が増えていってほしいです。

なので今回は、僕も、
新型コロナウイルスの一日も早い感染終息を願い、
アマビエの絵を描いて投稿する気持ちで、アマゾニアのソフビを紹介する事にします。
・・・え?
妖怪アマビエとショッカー怪人アマゾニアは全然違う?

だってぇ~、
アマビエのソフビなんか無いンだも~ん(そのうちどこかのメーカーが作りそうだけど・・・)。

ってか、
いいンですよぉ~、べつにアマビエでなくアマゾニアでも。
海中から現れる “魚の化け物” って事で、なんとなくイメージも似てますし、
僕にとっては、
妖怪もショッカー怪人も、同じ畏怖すべき異形なるもの(数奇な怪物)ですから。


 
それに、
“アマビエ”って、
174年も昔の瓦版に、たった一度登場しただけで、
その他には一切記録が残ってない珍獣であり、
何枚もの瓦版や各地に文献が残っている、
同じように予言を行い疫病を除けたとされる “アマビコ” の、誤植である可能性が高いンです。

つまり、
そもそも “アマ” が合ってりゃあイイものなンですよ、“アマ” が合ってりゃあ。

・・・ちょっと強引かな(苦笑)。

けど、ホント、
大切なのは “気持ち” ですから。

感染拡大の終息、
延いてはウイルスそのものの撲滅を願う心と、
苦しい状況の中でも、頑張って生き抜く前向きな明るい姿勢、
それを再認識するのが目的ですのでね。

妖怪は、
むやみやたらに信じるのではなく、
その存在を楽しむゆとりを心に持った時に、本当の “価値” が生まれるものなのです。


・・・理屈っぽいですか? スミマセン(苦笑)。

まぁ、要は、前回同様、

 懐かしいショッカー怪人のソフビ人形を鑑賞する事で、
 『仮面ライダー』を観て胸をときめかせていた子供の頃のような “元気” を取り戻そう!

というわけでございます。






バンダイ製、全長約25センチ。
   




・・・笑っております。

しかも、
不気味に、ではなく、こんなにもあどけなく、友好的に。

人間を海中へ引きずり込む凶悪な半魚人なのですが、
そんな身の毛もよだつ恐怖や嫌悪は、この笑顔からは微塵も感じらません。

凶悪な半魚人というよりは “となりのたまげ太くん” って感じで(笑)、
ライダー人形と闘わせてみても、
なんだかじゃれ合ってるように見えてしまいます。
           
昭和のソフビですから、

 たとえ悪者の醜い怪人の人形でも可愛らしくアレンジ、

ってのが
元々常識としてあったンでしょうけど、
半魚人なんて、いつにも増して気色悪い怪人なので、
原型師の方が意識して、
ほかの怪人人形よりも多めに “愛嬌” を盛ったのではないでしょうか。

大人になった今見ると、
もうちょっと怖くしてくれた方が
ショッカー怪人っぽくてカッコいいような気もしますが、
以前、第134回「食べ物の好き嫌いは一切無し」の中で紹介した蝙蝠男人形と同様に、
実物の怪人の顔が怖すぎる分、
これくらい大胆にデフォルメして、ちょうど良かったのかもしれません。

 
現に、
子供の頃、この人形に対して、
笑っているからカッコ悪い、なんて不満を
覚えた記憶はありませんのでね。
“怖すぎる実物に可愛らしすぎるデフォルメ” で、
やはり、絶妙にバランスが取れていたンだと思います。

ちなみに、
人形と一緒に袋に入っていたカタログには

 “はんぶんさかなのかいじん”

と、アマゾニアの肩書が記載されていて、
“半魚人” って言葉すらも、大胆にデフォルメ(笑)されています。

“となりのたまげ太くん” みたいな顔にしてある人形の造形共々、

 気色悪いこの怪人を
 なんとか子供たちが安心して楽しめるように、

と気遣う、作り手の思いを感じます。

当時の大人たちの “優しさ”・・・、ですよね。

そういう事を思うだけでも、心は穏やかに和んできます。
命に感謝する気持ちも改めて甦り、元気に生きていく意欲も湧いてこようというものです。

あぁ、素晴らしき昭和のオモチャ・・・。


ミニサイズは、ポピーから発売されていました(全長約12センチ)。
ただし、
向かって右端の人形の、鱗のモールドが無い下半身は、
バンダイがいろんなミニ怪人人形に流用していたもので、
足の裏には “バンダイ” と彫られています(よって人形はポピー製でなくバンダイ製か・・・?)。

第153回「蘇らずとも、甦る」で紹介したヒトデンジャーのミニソフビと、同じですね。

当時のショッカー怪人のミニソフビは、こういうのが当たり前でした。
爆発的な人気キャラクターであった事と、駄菓子屋でも売られていた安価な玩具ゆえ、
作ったそばから売れていく大ヒット商品でしたからね。

 面倒くさいから、みんな、同じ下半身、付けとけ、

とか、

 間違えて、違う怪人の下半身、付けちゃった、

とか、
そんな “ノリ” だったのではないか、と思われます。

同じ妖怪でも、
“アマビコ” と “アマビエ” の、2種類の違った記録があるように、
同じアマゾニアのミニソフビでも、
“鱗有り” と “鱗無し” の、2種類の違った下半身がある、というわけです(笑)。
   
 


口の形状のせいで笑顔には見えませんので、
先述のスタンダードサイズの人形よりも
このミニサイズの人形の方が、怖くて実物のアマゾニアに近い印象を受けますね。
ポピー製の方なら、下半身に鱗もありますし・・・。

わざと、なのか、偶然なのか、
チープで可愛らしいミニサイズ人形の方が、実物に近い不気味な造形になっていて、
こういうバランスも、絶妙なンですよねぇ~、今思うと・・・。
 


・・・というわけで、
新型コロナウイルスの感染拡大終息を願い、
アマビエの絵を描いて投稿するつもりでアマゾニアのソフビを紹介した今回の『ソフビ大好き!』、
いかがでしたでしょうか。

読んで下さった方の気持ちが、少しでも明るくなったのなら幸いでございます。
・・・あ、言うまでもなく、
前回同様、僕は、ソフビ人形片手に原稿を書きながら、楽しく元気な気持ちになってます、ハイ。

ほとんどビョーキ・・・、
実は、それがイコール “健康”、なンですよね。
そう思います。

なので、皆さん、
衛生管理と体調管理をしっかり行い、
ウイルスにつけこまれない体力づくりを心がけるのはもちろんの事、
アマビエの絵を描いたり、
または、アマゾニアのソフビを鑑賞したりして(笑)、
気持ちの方も豊かに盛り上げ、
心身共にたくましく、なんとかこの苦難を乗り越えていこうではありませんか。
頑張りましょうね。

では、また来月。


 【余談】

・・・あ、そうそう、
テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』の第6シリーズが
今月最後の日曜日で終了しますが、
そのひとつ前の第5シリーズに、アマビエが準レギュラーで登場してましたので、
御存知なかった方や興味のある方は、是非、チェックしてみて下さいませ。

もう10年以上も前の事ですが、
実は、僕、大好きで毎週観てたンですよねぇ~。

マイナーな妖怪だったアマビエが登場した事も、もちろん嬉しかったのですが、
一反木綿が人間の女の子と心通わす話や、
ろくろ首が人間の男性と恋をする話など、
珠玉の名エピソード揃いで、感動の連続でした。

怖いけど面白い、という妖怪の魅力をしっかりと伝えながら、
かつ、健全な子供番組であること、というポリシーが貫かれていて、
そのバランスが絶妙だったンですよねぇ~。まるでアマゾニアのソフビみたいに・・・(笑)。
素晴らしい番組でした。おススメです。



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