真水稔生の『ソフビ大好き!』


第85回 「巨大ロボット作品の決定版は・・・」  2011.2

今のような寒い季節に
焚き火やストーブなどに当たりながら、
その燃える炎の色を見ると、
僕は決まってレッドバロンを思い出す。
日本テレビと宣弘社が制作した、
『スーパーロボット レッドバロン』の主役、
その名のとおり真っ赤な姿をした、
巨大ロボットヒーロー・レッドバロンの事である。

レッドバロンは、
悪の魔の手から地球を守るため、
密かに開発された戦闘ロボットなのだが、
番組のオープニングで、
工場におけるその製造工程が描かれていて、
その際、
溶銑炉のアップの映像が何度も映し出されていたのが
とても印象的だったので、
その記憶の影響で、
真っ赤な姿がさらに赤く、
燃える炎のイメージで、
熱く胸に甦ってくるキャラクターなのである。

また、
同じくオープニング映像にある、
夕陽をバックに立つレッドバロンの勇姿、なんていう超シビれるカットも、
そんな赤い記憶の美化に一役買っていたし、
番組レギュラーであるSSI(レッドバロンと共に悪と戦う科学秘密捜査官たち)の
隊長や隊員が殉職してしまうエピソードに象徴される、
ハードなストーリーのテレビドラマであった事が、
番組自体の思い出をも、
熱く燃えるようなものとして、印象づけさせている。

“赤” という色に、
悪を憎む心が熱く燃えたぎるようなイメージを植え付けてくれたテレビ番組、
それが、
僕にとっての『スーパーロボット レッドバロン』なのである。
とにかく、
ハートにズシリと来る “赤”、
それがレッドバロンの “赤”、いや “紅” なのだ。
僕は、
この、真紅の巨大ロボットが主役の
熱く燃えるテレビドラマが、とても好きだった。




『スーパーロボット レッドバロン』の放送が始まったのは、昭和48年の夏。
当時は
巨大ロボットブームの黎明期で、
子供たちの間では、
半年前に放映が開始されていたテレビアニメ『マジンガーZ』が、爆発的人気となっていた。
僕は小学3年生だったが、
クラスメイトの男の子たちが登下校や休み時間の際に、

 ♪ マジンゴー! マジンゴー!

と、主題歌をそれはそれは楽しそうに歌っていた様子や、
黒板やノートにマジンガーZの絵を夢中で描いていた姿が、強く記憶に残っている。
友達同士、
フザけてジャレ合っている時に繰り出されるのも、
定番だったライダーキックから、ロケットパンチに変わっていた。
みんな、マジンガーZが大好きだった。

でも、
どういうわけか僕はアニメに馴染めない子供だったので、
クラスのみんなほど『マジンガーZ』に熱くなれず、ちょっと淋しい思いをしていた。
だから、
実写(特撮)による巨大ロボット作品である『スーパーロボット レッドバロン』の登場には
胸が躍ったのである。

 これで僕も巨大ロボットブームに乗れる、

そう思った。

そして、
始まったその番組は、決して期待を裏切らなかった。
まず、
第1話で、
万国ロボット博覧会の会場から
各国の巨大ロボットたちが悪の組織・鉄面党によって強奪されるのだが、
それが兵器として部分的に改造され、
第2話以降、敵となって毎回順番に襲ってくる、というフォーマットが
ユニークで面白く、作品世界に強烈に惹きつけられた。
たとえば、
ウラン鉱脈を採掘するため、とか、
森林を警備するため、とか、
元々はそうやって人々の役に立つ事を目的に各国で作られたロボットたちが、
悪者の世界征服計画に利用され、
結果として人々を苦しめる事になるのだから、
その恐ろしさや哀しさのダメージは、とても激しいものであった。
さらには、
前述した、隊長や隊員が殉職して番組を途中降板してしまう展開が、
命を懸けて戦う男たちの迫力を、リアリティをもって子供心に伝えてくれていて、
回を追う毎に、僕はその物語の中にのめり込んでいった。
それに、
なんといっても、
実写による巨大ロボット同士のバトルは迫力満点。ワクワクした。
巨大である事の重量感や
金属である事の硬質感が、
これでもかと言わんばかりにビシビシ伝わってきて、
この、
胸に押し迫るような凄さはアニメじゃ絶対味わえないだろう、と
とても痛快な気分になった。

 やっぱ、男はアニメじゃなくて実写(特撮)ドラマだぜ! 

心の中でそう叫びながら、毎週見ていた。
番組の充実度に心底満足し、胸の透く思いがしていたのだ。

僕の中では、
『マジンガーZ』なんかより
『スーパーロボット レッドバロン』の方が、断然カッコよくて面白い番組だった。
まさに、

 ♪それ見たかぁ〜

であった。


ところが、
一般的には、レッドバロンよりもマジンガーZの方が圧倒的に人気が高く、
僕のそんな偏った愛情とは裏腹に、
巨大ロボットブームはアニメ主導のまま、どんどん白熱していく。
『スーパーロボット レッドバロン』など
まるで眼中に無い感じで、
ますます盛り上がっていった『マジンガーZ』は、
『グレートマジンガー』という続編も生み出し、
テレビアニメにおける“巨大ロボットもの” という人気ジャンルを確立するばかりか、
今日のアニメ大国・日本の、その礎をも築いていく事となる。
いや、
アニメという枠など跳び超えて、
児童文化における歴史的テレビ番組として、『仮面ライダー』とともにその名を遺す事になるのだ。
まったく歯が立たないまま、
レッドバロンはマジンガーZに敗れ去ったのである。

『スーパーロボット レッドバロン』にも、
続編ではないけれども、内容を更に練り直してグレードアップしたような、
『スーパーロボット マッハバロン』というバロンシリーズ第2弾があったのだけれども、
ロボットアニメの人気が最高潮に達していた風潮の中では、
完全に “焼け石に水”。
クラスで僕とマッハバロンの話をしてくれる友達など、ただの一人もいなかった。
レッドバロンがマジンガーZに敗れ去ったあの時から、
実写(特撮)ファンは、少数民族のようになったのである。

僕は悔しかった(意地で『グレートマジンガー』を一度も見なかったほど)けど、
『マジンガーZ』の方が『スーパーロボット レッドバロン』よりも先に存在したのだし、
『マジンガーZ』の人気にあやかって、
そんな巨大ロボットものを実写(特撮)作品でも・・・、という発想から
『スーパーロボット レッドバロン』が企画・制作されたンだろうから、
まぁ、仕方ないか、と思ってもいた。

でも、実は、
『スーパーロボット レッドバロン』の企画は、その何年も前からあって、
諸事情により、放送開始が昭和48年の夏になっただけで、
特に『マジンガーZ』の影響を受けたわけでもない、という事を大人になってから知った。
もっと早く番組化が実現し、
逆に『マジンガーZ』よりも先に放送が始まっていたら、
巨大ロボットブームを巻き起こしたのはアニメではなく実写(特撮)だったかも・・・、と
原作者の方は当時とても悔しがっていた、との事。

まぁ、アニメの人気は凄いから、
どっちにしろ『マジンガーZ』には敵わなかったかもしれないけれど、
僕はこの事実を知って、ちょっとスッとした。
アニメ作品である『マジンガーZ』の真似をして
実写(特撮)作品である『スーパーロボット レッドバロン』が作られたわけじゃない、
という事実が、
実写(特撮)ファンとしての誇りを取り戻させてくれた気がしたからである。
それに、
よく考えたら、実写(特撮)作品には、
それ以前に、
昭和42年放送開始の『ジャイアントロボ』という巨大ロボットものの名作があるのだから、
『スーパーロボット レッドバロン』の放送開始が
『マジンガーZ』よりも後だった事に引け目を感じる必要など無い。
巨大ロボットものの実写(特撮)作品あってこその、ロボットアニメなのだ。エッヘン。

・・・あ、
でもその前に『鉄人28号』があったか。
くそォ!
やっぱりアニメが先だぁ〜。

って言うか、
そんな事にこだわってるのって、僕だけかな(笑)。



というわけで、
コレクションの紹介に移ります。

レッドバロン関連のソフビは、
当時、いろんなメーカーから発売されていたようで、
僕はいまだに全てを把握しきれていない。
・・・って言うか、
誰も把握していないと思う。
未知のロマン、である。

では、
まずは、主役・レッドバロンから。

全長約27センチ、ブルマァク製。

実物よりか若干スリムな印象を受けるが、
ブルマァクらしさを感じる整った造形であり、
惹かれるものがある。
また、成形色の赤が、
他サイズの人形、あるいは他社の人形とは異なる、
独特の色味になっているところが、
“真紅” にこだわった気がして、僕は好き。


全長約15センチ、ブルマァク製。

SSIの隊員である紅健(くれない けん)の
指紋と声紋を電子頭脳に記憶させてあるため、
彼の命令でしか動かないし、
彼にしか操縦出来ないレッドバロンではあるが、
この人形は
上の人形とは異なり、
どっしりとしたフォルムで実物のイメージに近く、
今にも動き出しそうな雰囲気が漂っているので、
ジーッと見つめていると、
僕の命令でも動くンじゃないか、という気がしてくる(笑)。


全長約15センチ、ヨネザワ製。

一見、上のブルマァクの人形と似ていて、
カラーリングの異なるバージョンかな、と間違えそうになるが、
別メーカーによるまったくの別商品。
当然の事ながら、カラーリングだけでなく型も異なる。
下の写真のように並べて比較すると、
ブルマァクに似ている、と言うより、
ブルマァクのお株を奪うような、美しく整った造形である事がよくわかる。
見つめれば見つめるほど好きになってしまう、
実に魅力的な人形である。


全長約8センチ、ブルマァク製。

小さくて可愛らしい人形だが、
両腕を振り上げた勇ましいポーズで造形されている。
ただ両腕を上にしているだけ、
と言ってしまえばそれまでだが、
冒頭で述べた、
オープニング映像における
夕陽をバックに立つ超シビれる勇姿もこのポーズだったし、
必殺技であるエレクトリッガー(1億ボルトの放電光線)を
発射する寸前のポーズでもあり、
僕は胸をときめかせずにはいられない。カッコいい。
2種のカラーリングを確認。


向かって左から、
全長約28センチ、16センチ、
ともにウッド製。

頭部と手足がソフビで、胴体は透明なプラスチック。
内部には、
レンチキュラーシートが入っていて、
胸部からミサイルが発射された瞬間が描かれた絵と
内臓メカが描かれた絵が、
角度によって
交互に見えるようになっている(絵柄は両サイズとも同じ)。

透明な・・・、と述べたが、
もっと細かい事を言うと、
やや赤みがかったプラスチックであり、
スケルトン仕様でありながら、
レッドバロンの人形である以上
赤いボディでなければならない事を
忘れていないわけで、
そんなメーカーの気遣いが、
僕を温かい気持ちにさせてくれる。



続いて敵キャラ。

メカロボ
全長約13センチ、ヨネザワ製。
鉄面党の兵士ロボット。
いわゆる戦闘員だが、
戦闘員にしては、
なかなかカッコいいデザインだったと思う。

テキトーな扱いや
ギャグっぽい味付けがされがちな
戦闘員の容姿を
決して軽視していないところも、
僕が
この番組を好きだった理由のひとつ。


両手に武器を持った状態
 (戦闘員なのでまさに戦闘状態)で
ソフビ化されている。


ビッグバイソン
向かって左から、
全長約16センチ、ブルマァク製、
全長約14センチ、ヨネザワ製、
全長約8センチ、ブルマァク製、
全長約8センチ、ウッド製。

元は、NASAが基地の警備のために建造したアメリカ製のロボット。
常にクルクル回転している角が特徴なので、
一体成形のため角が可動しないこのソフビたちを馬鹿にする人がいるかもしれないが、
本来、ソフビは空想力で動かすオモチャ。
この人形で遊んだ子供たちの中でも、
この人形を見つめるコレクターの中でも、
2本の角は、ちゃんとクルクル回転しているのです。


ブラックマサイ
向かって左から、
全長約14センチ、9センチ、
ともにブルマァク製。
元は、野生動物を
密猟組織から守るために開発された、
ケニア共和国製のロボット。
スキンヘッドみたいな頭部のデザインが
なんとも不気味な雰囲気で、
存在感があった。
背中に携えたロケット槍が武器。
正面からはわかりませんが、
向かって左側の人形の背中にも、ちゃんとロケット槍があります。

・・・なんか、癒されるなぁ、この味わい(笑)。


アグンガルーダ
全長約8センチ、ブルマァク製。

体のパーツを分離させて空中浮遊するインドネシア製の戦闘用ロボット、
との事だが、
僕は憶えていない。
何某かの事情でその回の放送を見逃したのかなぁ・・・。

ソフビを見ても記憶が甦ってこない、
というのは、
実に淋しくて悔しい事である。


飛龍
向かって左から、
全長約14センチ、8センチ、
ともにブルマァク製。
元は、
紅健の兄であり、
レッドバロンの生みの親でもある、
ロボット工学の権威・紅健一郎博士が設計した、
公害監視除去ロボット。
どちらのソフビもカラーリングが寒素なため、
伝わりにくいかもしれないが、
実物は、なかなかカッコいいロボットだった。

でも、個人的には、
後のエピソードに登場する、
この飛龍と
万国ロボット博の日本代表の座を
争い敗れたという設定の、
マグマウルフというロボットの方が
もっとカッコよくて好きだった。


バイキング三世
向かって左から、
全長約15センチ、ブルマァク製、
全長約9センチ、ウッド製。
元は、スウェーデン製の海洋警備ロボット。
右手の剣を振りかざしての執拗な攻撃が印象的だったが、
それよりも
僕の記憶に強く焼き付いているのは、
このロボットが登場した回の、
熊野警部の活躍。
現場には常に愛用の自転車で駆けつける事から
“自転車刑事” と呼ばれている熊野警部は、
ズッコケで三枚目的なキャラクターなのだが、
この回では、
鉄面党に囚われたSSIのメンバーは救出するわ、
メカロボたちとも格闘して、
奪われていた紅健のブレスレット (レッドバロンに命令を下す通信機)は取り戻すわ、
八面六臂の大活躍。
コメディーリリーフの、
そんな正義に燃える勇敢な姿を見せつけられ、
子供心に、
男は見た目のカッコよさよりもハートの出来が肝心なのだ、と教わった気がした。
ソフビを見るたび、その事を思い出す。


プロトアンデス
全長約13センチ、ヨネザワ製。

元は、ペルー共和国製のインカ遺跡警備ロボット。
リモートコントロールされた右手の回転ドリルが、
レッドバロンの胴体を突き刺したまま
空中でグルグル回していたシーンを憶えている。
あと、
この回は、
団地の住民たちから
警察官や牛乳配達のお兄さんに至るまで、
登場するすべての人間が
メカロボの化けたものであり、
『ウルトラセブン』の
第43話「第四惑星の悪夢」や
第47話「あなたはだあれ?」を
彷彿とさせるような、
不思議な雰囲気と現実的な恐怖が交錯する、
独特の演出がなされていた事も印象に残っている。
なんか、異様に恐かった。
そんな放送を見た時の記憶を、
実物の特徴をしっかりと捉えた造形とカラーリングであるこのソフビが、
鮮明に甦らせてくれる。


グランマタドール
全長約12センチ、ヨネザワ製。

元は、ヨーロッパ横断特急の建設用に開発されたスペイン製のロボット。
レーザービームを発する右手のサーベルが武器。
奇抜な姿をした敵ロボットたちの中にあって、
わりとシンプルなデザインで地味な印象のロボットだったが、
それでも、
 こんな姿形をした巨大ロボットが、
 鉄道の建設にいったいどんな役割を果たすというのだろう? という、
素朴な疑問は残る(笑)。
だが、
そういう荒唐無稽な設定こそ、
“夢見てなんぼ” の子供が、
明るく健全な精神を育む要素の、主成分なのである。
理屈じゃない子供番組の楽しさ、とでも言おうか。
実に素敵なものだと思う。
汚れた心の大人になってしまった今、それを素直に愛せないのが哀しいが、
せめて、
胸をときめかせながら番組を見ていた時の気持ちを、忘れないでいたい。
夢見る事が難しくなっても、
夢見てた楽しい記憶がある限り、心が荒む事は無いと思うから。
そういった意味でも、
ソフビは、僕にとって、とても大切な宝物なのである。


ほかにも、
そうやって夢を見させてくれる、
世界各国の魅力溢れるロボットたちが続々と登場したが、
全てはソフビ化されていない模様。
複数のメーカーが商品化していただけに、
もう少し種類があってもおかしくない気がするのだが、
やはり、
『マジンガーZ』との人気対決に敗れ去った事実を意識して、
商品展開にブレーキがかけられたのだろうか。
残念である。
アイスランド製の気候制御ロボット・ブリザード7とか、
フランス製の土木開発用ロボット・エスカルゴスとか、なんて、
とても印象的な姿形をしてたので、
人形になってたらさぞかし魅力的だったろうになぁ、と思う。

・・・あ、でも、
まだ見た事がないだけで、もしかしたら存在するかもしれないから、
出逢いを夢見てこれからも探し続けよう。
なんたって、未知のロマンなのだから。



最終回「機械じかけの明日」で、
紅健の父・紅健太郎(頭脳以外を改造されて機械人間となり、悪事に協力させられていた)は、
火星の鉄面党本部から救出され、無事、地球に帰還を果たすが、
それも束の間、
火星と地球の気圧の違いから人口心臓に変調をきたし、死期を迎えてしまう。
人工心臓を取り替えれば延命出来るのに、
健太郎はそれをせず、静かに息を引き取る。
子供だった僕は、
これが理解出来なかった。
いくら機械人間にされてしまった身の上とは言え、
せっかく地球に戻ってくる事が出来て息子と暮らせるというのに、
なんで人口心臓を取り替えて生きようとしないンだ!?
と、腹立たしい気持ちにさえなった。
だけど、
今なら当然理解出来る。
これこそ、この番組の真のテーマであったのだ。
それは、“人間が機械に支配されてはならない” という事。
どんなに科学が進歩しても、
人間は科学の奴隷になってはいけない。
だから健太郎は、
人工心臓を取り替えて機械人間として延命する、という選択をしなかったのである。
機械じかけの明日を拒否したのだ。

ロボットには、
当然ながら意思は無い。
ロボットを頼もしい味方にするも恐ろしい敵にするも、人間次第。
ロボットを作り、ロボットを使う人間に、その責任のすべてがある。
主役はロボットでも、
『スーパーロボット レッドバロン』は、
ロボットの物語ではなく、人間の物語だったのだ。
ハードなストーリーのドラマだった、と
冒頭で述べたが、
人間の物語だったからこそ、熱いのであり、燃えたのである。

ロボットを操縦する事も、命を懸けて悪と戦う事も、
すべては、
人間が人間であるための誇りがなせる業。
レッドバロンはその象徴。
燃える炎のイメージであり、
夕陽にもシビレるほど映えるあの真紅は、人間の熱き血潮の色を表していたのだと思う。

以前、
仮面の忍者・赤影が僕の永遠のヒーローであり、
その影響で
“赤” という色に
憧れと美しくカッコいいイメージを持っている事を述べたが(第59回「赤」参照)、
それを更に強く激しくしてくれたのが、レッドバロン。

『スーパーロボット レッドバロン』は、
“赤” を “紅” にして、
その高貴な輝きを、巨大ロボットの迫力とともに僕の胸に深く深く植えつけてくれた、
最高に熱く燃えるテレビ番組であった。

日本のアニメがどれだけ世界で高く評価されようと、
“アニソン界のアニキ” から単なる騒々しいオッサンと化した水木一郎さん(笑)が
バラエティ番組に出てきてどれだけ「ゼェーーーット!」と叫ぼうと、
僕の胸の中では、
『マジンガーZ』ではなく、
『スーパーロボット レッドバロン』が、赤く紅く、熱く燃え続けているのだ。



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