真水稔生の『ソフビ大好き!』


第39回 「いーじゃん! いーじゃん! スゲーじゃん?!」  2007.4


 電王、面白いなぁ。

・・・あ、いきなりスミマセン。今回は独り言から始めてみました。
『仮面ライダー電王』、好きなンですよォ、僕。

平成12年の『仮面ライダークウガ』から始まった平成ライダーシリーズも、
はや8作目。
クウガが大好きだった我が息子たちも中学生になり、
もう仮面ライダーになど見向きもしなくなってしまいました。
今では独り淋しく見ている次第であります(笑)。

でも、電王は本当に面白いです。大好きです。
まぁ、特撮ファンの中にも、
平成の仮面ライダーシリーズを無視したり否定したりする人がいらっしゃいますが、
やっぱ、面白いものは面白いのです。

無視したり否定したりする人たちは決まって

「あんなの仮面ライダーじゃない」

っておっしゃいますが、
いったい、何をもって“仮面ライダーじゃない”と断言出来るのでしょうか。
“仮面ライダーの定義”って何なのでしょうか。

必殺技はライダーキックじゃなきゃいけない?
マフラーやベルトしてなきゃいけない?
バッタの顔してなきゃいけない?

僕は気になりません。
極端な話、オートバイに乗らなくたって、僕は平気です。
必殺技とか容姿とか乗り物とか、
そんな些末な問題で語られるほど、仮面ライダーはケチな存在ではないからです。

仮面ライダーが守ろうとするものは人間の自由であり、
僕らが感じ取るべきものは、命の重みや平和の素晴らしさ。
肝心なのは、愛や勇気です。強く正しい心です。
そこをカッコよく魅せてくれるかどうかが、重要なのです。
視聴者である子供たちが憧れるような素敵な存在であれば、何の問題もありません。

かく言う僕も、
仮面ライダーと言えば1号と2号がいちばん好きだし、
マフラーとベルトしたバッタの改造人間が
仮面を被ってオートバイに乗ってる姿をカッコいいと思うし、
変な光線や武器よりもライダーキックで敵を倒してくれた方が燃えますが、
シリーズ全ての作品がそれでは、シリーズにする意味が無いわけで、
いろんな仮面ライダーがいて良い、と僕は思うのです。


以前にも述べましたが(第21回「仮面ライダーシリーズの底力」参照)、
“仮面ライダー”というヒーローは、
どんな設定や世界観にも対応可能な、実に柔軟なキャラクターです。
これは、
ゴジラやウルトラマンよりも、ある意味優れている、仮面ライダーの長所です。

ハリウッドゴジラがゴジラでない事は誰が見てもわかりますし、
ウルトラシリーズは、
その普遍的な世界観に新しい設定と深いストーリーを
融合させようとした『ウルトラマンネクサス』が一般には受け入れられず、
やれエースだ、やれタロウだ、というウルトラ兄弟の物語に、結局戻ってしまいました。
ゴジラもウルトラも、
仮面ライダーの柔軟さや許容範囲の広さには遠くおよばないのです。

平成5年に『ウルトラマン VS 仮面ライダー』というビデオ作品で実現した、
“ウルトラマンと仮面ライダーがタッグを組んで敵を倒す”という企画においても、
夢の共演を果たすために柔軟なフットワークで歩み寄ったのは仮面ライダーの方でした。
巨大化してウルトラマンの戦いに合わせたのです。
巨大化バトルの方が華があるから、
という事もありますが、
巨大である事に縛られているウルトラマンが
仮面ライダーの戦いに合わせられない事に変わりありません。

仮面ライダーの柔軟さがなければ、2大ヒーローの夢の共演なんて
実現不可能な話なのです(その企画をファンが望んだり喜んだりしたかは別として)。
とにかく、仮面ライダーは凄いのです。
まさに、“いーじゃん、いーじゃん、スゲーじゃん?!” なのです。

そんな世界一優れたスゲーキャラクターである仮面ライダーを、
いろんな設定や世界観で描いて視聴者を楽しませてくれようとするのが、
仮面ライダーシリーズであり、
昭和も平成も、それは同じ事です。

初代の仮面ライダーとの違いに嘆く人は、逆に、誇りに思うべきではないでしょうか。
だって、
これだけ多種多様な仮面ライダーを各世代に生み出せたのは、
初代がそれだけの可能性を持っていた素晴らしいキャラクターであり映像作品であった、
という事なのですから。
“仮面ライダー”という冠が付いている以上、
初代は超えられません、という宣言です。
初代あっての、仮面ライダーシリーズなのです。

もちろん、趣味・嗜好は人それぞれだし、色んな考えや意見があります。
それぞれの作品にお気に入りな点や不満な点があるでしょう。
でも、
それらすべてに“仮面ライダー”という称号が与えられ、
結局成立してしまうところが、仮面ライダーの凄いところです。

その作品がどうであれ、
“仮面ライダー”というキャラクターの偉大さだけは、不動であり、
誰もが認めるところだと思います。
凝り固まった了見で否定するより、
そのキャラクターの偉大さがもたらすいろんな可能性を信じて楽しんだ方が、
どう考えてもハッピーです。

まぁ、だけど、
否定している人のほとんどは、ちゃんと作品を見た事がない場合が多いので、
見さえすれば、新しい仮面ライダーも理屈抜きで楽しめると思いますけどね。



というわけで、今回は、
僕のソフビコレクションを紹介しながら仮面ライダーシリーズの歴史を振り返り、
“仮面ライダー”というキャラクターの魅力を再確認したいと思います。
途中で、例によって、
たわ言を言ったり、思い出に浸ったりするため脱線しますが、
それもこのエッセイならではと、ご理解とお許しの程、よろしくお願いします(笑)。


まずは、なんと言ってもコレ。
『仮面ライダー』放映時の昭和46年から発売が開始された、
マスク着脱型のスタンダードサイズ人形。バンダイ製。

中嶋製作所のタイガーマスク人形の影響を受けたものだとは思いますが、
着脱可能なマスクの下に人間の顔がある、というのは、
仮面ライダーというキャラクターにピッタリの装備でした。

変身する前からカッコいい、というのも、
当時の子供たちが仮面ライダーに夢中になった大きな要因のひとつです。
本郷猛や一文字隼人に憧れていた僕らにとって、
実物と同じように人間の顔がマスクを被っている、というこの人形は、
リアリティがあって、気が利いていて、たまらなく魅力的なものでした。

また、発売期間が長かったためか、
型やカラーリングにいろんなバージョンがあります。
上の写真以外のバージョンも、まだまだ存在するようなので、
この先どんなバージョンに出逢えるかな、なんて考えると、胸がときめきます。


また、当時は、その熱狂的な人気ゆえ、
無版権の人形や流通のよくわからない人形が数多く出まわりました。
この2体は、
メーカーの刻印もあり、一見、
上のバンダイ製スタンダードサイズのバージョン違い、
かと思われますが、
ひとまわりサイズが小さい事や
台紙やタグにはバンダイの商標が無い事などから、
メーカーの刻印ごとコピーした、
いわゆる“パチもん”ではないか、
と言われています。

真実はわかりませんが、
この無責任過ぎるカラーリングやマフラーの悪趣味な模様が、
時代を物語り、
当時の仮面ライダーブームの
異常なまでの白熱ぶりを伝えてくれています。




次に、オートバイに乗らなきゃ仮面ライダーじゃない、という頭の硬い(笑)ファンのために、
オートバイに乗った仮面ライダーのソフビもいくつか紹介させていただきましょう。
まずはサイクロン。


    タカトクのサイクロン
    車体はポリエチレン。乗ってるライダー人形もポリエチレンですが、
    人形の頭部のみソフビで、マスク着脱タイプ。
    全長約45センチ、高さ約28センチ、というデカいオモチャです。迫力満点。
    メーカーはタカトクですが、マスクはどう見てもバンダイのものです。



    ポピーのサイクロン
    手帳や怪人のミニサイズ人形などとセット売りされてました。
    全長約16センチ、高さ約11センチで、コロ走行。車体はプラスティック。
    このオモチャを見るたび、『レッツゴー!!ライダーキック』が聴きたくなります。
    カッコいいです。





    ヨネザワの新サイクロン
    プラスティックの車体に金属パーツが付いてます。
    全長約32センチ、高さ約23センチで、フリクション走行。
    当時の新サイクロンの商品化は人気のわりには数少ないので、ファンには嬉しいアイテム。
    乗ってるライダー人形が新1号でないところが、いかにも“当時”の玩具です。



1号ライダーの技と2号ライダーの力を受け継いだX3は、
新サイクロンの発展系と言えるスーパーマシン・ハリケーンを乗りこなします。
改造人間としての能力もマシンの性能も、全てがダブルライダーより優れているX3に、
僕らは強烈にシビれました。
風見志郎のマネをして、自転車に乗りながら両手放しで変身ポーズをした子も多いはず。
もちろん、僕もやりました。転んで顔面擦りむいたけど(笑)。
良い子はマネしちゃダメですよ。



    バンダイのハリケーン
    ポリエチレンの車体に貼ってあるシールが、
    歳月の経過に伴いペロッと剥がれてくるので、保管には特別気を遣ってます。
    全長約34センチ、高さ約25センチと、
    先述のヨネザワの新サイクロンとほぼ同サイズなので、
    よく並べて眺めては、胸を熱くしています。



    ポピーのハリケーン
    車体はプラスティック。タイヤの部分は、接着剤のようなものが溶け出して
    練乳をかけたようになってますが、食べられません(笑)。
    全長約18センチ、高さ約13センチで、フリクション走行。
    乗ってるX3人形が、X3のコスプレをしている子供、って感じの造形で可愛いです。





    タケミのハリケーン
    これも車体はプラスティックで、フリクション走行。
    全長約23センチ、高さ約14センチ。
    メーカーはタケミですが、乗ってるX3人形はどう見てもポピーのものです、
    と思ったら、
    足の裏に思いきり“ポピー”って刻まれてました。提携してたのかな?


 バンダイのスカイターボ
 ポリエチレンの車体に
 金属パーツがついています。
 全長約32センチ、高さ約24センチ。
 乗ってるスカイライダーの人形には、
 前面のみメタリックグリーンの塗装が
 してあります。
 手抜き、と言うか、
 コスト面の都合でそうなってると思いますが、
 前面しか塗装されていない事が、
 風を切って走っているように見える、
 という“怪我の功名”的効果を呼び、
 人形に疾走感が出ています。カッコいいです。

            ところで、
            スカイライダーは空を飛べるのに
            オートバイに乗る必要があったのでしょうか。
            ・・・あ、オートバイに乗らなきゃ仮面ライダーじゃない、ンでしたね(笑)。

スカイライダー(番組名は『仮面ライダー』)は、
『仮面ライダーストロンガー』の終了から4年後の昭和54年、
夢よもう一度とばかりに再び始まった新しい仮面ライダーシリーズの核弾頭的存在。
よって、大空を飛ぶくらいのインパクトが無ければ成立しなかったかもしれません。
でも、
新しいライダーを古くからのファンが否定する歴史は、ここから始まった気がします。
御多分に漏れず、当時は僕も、
番組をろくに見もしないくせに、

「空なんか飛んだら仮面ライダーじゃないじゃん!」

などと生意気な事を言ってましたが、
心のどこかにスッキリした部分もありました。
『仮面ライダーストロンガー』の最終回以来、ずっと胸にひっかかってたものを、
仮面ライダーが空を飛ぶ、という事実が、軽く吹き飛ばしてくれたからです。

『仮面ライダーストロンガー』の最終回で、
7人ライダーが個々のエネルギーを結集して岩石首領を倒し、
仮面ライダーシリーズは一旦幕を閉じるわけですが、
岩石首領、つまりこれまで7人の仮面ライダーが戦ってきた悪の組織の親玉が、
宇宙からの使者だった、
というラストに、僕はとてもガッカリしたのです。
仮面ライダーの存在が
文明社会に警鐘を鳴らすものである以上、
戦う敵は地球の人間が生み出した悪の科学でなければ意味が無いのに、
敵の正体は宇宙人でしたチャンチャン、では、
どうにも納得がいきませんでした。それがずっとひっかっかてたのです。

でも、
今度の仮面ライダーは空を飛ぶと知った時、吹っ切れました。
仮面ライダーは“何でも有り”なんだな、と。
そういう資性のヒーローなのです。
それが証拠に、
空飛ぶ仮面ライダーの次は、手から光線を発射する仮面ライダーが登場します。
御存知『仮面ライダースーパー1』です。
僕はあの頃、15〜16歳でしたが、
空を飛ぶ事も手から光線を出す事も許容する“仮面ライダー”の器のデカさに感服し、
その初代である1号と2号の偉大さを改めて痛感しました。
仮面ライダーというヒーローは、
きっと、視聴者やファンが作品に対して抱く思いとは遥か異なる次元で、
進化・発展していく凄いキャラクターなのだと思ったのです。

仮面ライダーが、
無限とも言える可能性でどんどんシリーズ化されていく中、
それぞれの世代の人が、それぞれの好みで、それぞれのライダーを愛せばいいわけで、
否定したり些細な事にこだわるのは、無駄で無意味な事だと悟ったのです。

「いろんな仮面ライダーがあっていい。
     だけど、いかなるライダーも初代は超えられない」

という僕の個人的な仮面ライダーシリーズ論は、間違いなくあの時生まれたものです。
幼い頃は夢にも思わなかった仮面ライダーの巨大化も、
いつかはあるンじゃないか、
そして、それは誰が何を言って反対しても、
あっさりと簡単に実現してしまうのではないか、
と、すでにあの時予感しました。

7人ライダーのミニサイズ人形
ポピーからセット売りされていました。
1号と2号は、同じ型の色違い。
足の裏に、数字の部分を空白にして
“ 号ライダー”と刻まれているので、
たぶん、
“どちらを1号にして
 どちらを2号にして遊んでも、それは自由” 
って事だろうと思われます。
これを、
“気の利いた配慮”と受け取るか、
“粗雑な扱い”と受け取るか、それも自由(笑)。

 スカイライダーとスーパー1のミニサイズ人形
 すべてポピー製。単品売りとセット売りでは、
 このように型やカラーリングが異なり、
 いろんなタイプが存在します。
 仮面ライダーシリーズに革命を起こした、
 この二人のライダーは、
 1号と2号に対する僕の愛情をより一層深め、
 更には、
 後発のあらゆるライダーを楽しむ事が出来る、
 心のゆとりを与えてくれました。
 おかげで、40歳を過ぎた今でも、
 仮面ライダーシリーズを喜んで見ている僕です(笑)。




『仮面ライダースーパー1』の終了から6年後の昭和62年、
またしても仮面ライダーシリーズが甦ります。根強いです。
その名は『仮面ライダーBLACK』。
この時は、
『仮面ライダー』を見て育った世代が成人していて(僕は社会人1年生)、
いわゆるマニア、あるいは特撮ファンといった、
大人の注目も集まる中での、番組スタートでした。
子供を喜ばせ、なおかつ、大人のファンも満足させねばならない、
そんな使命を持った、いちばん最初の仮面ライダーだったと思います。
でも、
ホラー映画のような雰囲気が漂う洒落た作風や、
兄弟同然に育った無二の親友(シャドームーン)と
戦わなければならない主人公の苦悩が描かれるシリアスな展開が、
見事、その重責を果たしました。
重厚で完成度の高いストーリーは、シャドームーン自体のカッコよさも相俟って、
子供から大人まで、多くの視聴者を魅了しました。

また、
この時期に発売されていたバンダイの“仮面ライダーBLACK変身ベルト”は、
それを腰に巻いて番組を見てると、
主人公・南光太郎が変身する度にテレビ画面から出る光をセンサーが感知して、
自分のベルトも光って回り出す、という実に画期的なもので、
「今のオモチャは、なんて凄いンだ」
と感心したものでした。

番組もオモチャも、確実に“進歩”している事を、僕は実感し、
「仮面ライダーって凄いなぁ」という思いが、益々強くなりました。

そして翌年、
好評だったその『仮面ライダーBLACK』の人気を引っ張る形で、
延長強化作品『仮面ライダーBLACK RX』が製作されました。
BLACKと異なり、
BLACK RXは、四輪の自動車に乗ったり、銃や剣を使ったりしたため、
例によって、“あんなの仮面ライダーじゃない攻撃”を受ける事になりましたが、
スカイライダーとスーパー1で完全に吹っ切れていた僕は、
特に違和感やこれといった不快感を持つ事も無く、
毎週気持ちよく、新感覚の仮面ライダーを楽しめました。

ちょうどソフビ怪獣人形のコレクションを始めた頃でもありましたので、
仮面ライダーなどの特撮ヒーローについて語り合える友達も増え始めていて、
BLACK RXの話題でよく盛り上がったものです。
しかも、最終回に近づく頃は
歴代ライダーのゲスト出演もありましたので、かなり熱くなりました(笑)。

上の写真は、バンダイの仮面ライダー列伝というシリーズで、
平成に入ってからのソフビです。全長約30センチ。
後列向かって左から、新1号、オリジナルビデオ作品の真・仮面ライダー、
前列向かって左から、X3、BLACK、BLACK RX。
リアルな造形で、新時代のソフビ、って感じです。
特に、前列の3体が、カッコいいので気に入っています。

平成に入ると、このようにカッコいいソフビが続々と登場し始めます。
造形やカラーリングに、リアルさを追求する“こだわり”が表れてきます。

京本コレクションの仮面ライダー
ヒーロー好きで知られる俳優・京本政樹さんがプロデュースしていたシリーズで、
全長約50センチという大きさが、発売当初は話題になりました。
京本さんのこだわりが表現されたリアルな造形や彩色の、
旧1号と旧2号、そして平成の仮面ライダーたちがラインナップされています。バンダイ製。

写真は、
劇場作品の二人。向かって左がZO、右が巨大化ライダーのJです。
実物のスーツが完璧なまでに再現されていて、
“実物そっくり”というよりは、“実物そのもの”という感じです。

子供が手にして遊ぶものではなく、大人が飾って楽しむものであり、
昔のソフビ人形とはコンセプトも味わいも異なるものですが、
ソフビ人形という玩具の歴史上、外せないシリーズだと思うので、僕はコレクションしています。


そういえば、僕は、数年前、
京本政樹さんの所属事務所の社長と懇ろの仲だという人と知り合い、

「社長に話して、京本政樹の付き人にしてやる」

と言われました。
その人は、
どう見てもみすぼらしい感じの、さえない中年オヤジだったのですが、
自分では、

「俺は業界のカリスマだ」

と言い張り、
いかに自分が凄い人物か、というインチキ臭い話をいつもしていました。
そのセコい見栄の張り方が、僕には逆に人間っぽく映り、

 この人を信用したい、
 この出会いに賭けてみよう、

という気持ちになりました。
当時、
劇団もつぶれ、どこの事務所にも所属していなかった僕には、
なんでもいいから芸能関係者に紹介さえしてもらえれば何か道が開けるかもしれない、
という自分自身のズルさや甘さもあったのかもしれません。
何度か食事をしたり一緒に野球をしたりして、親しくさせていただきました。
でも、
その人は、会うたびに、

「犯人役で『はぐれ刑事純情派』に出させてやる」

とか、

「BSフジでオートバイ番組の司会をやらせてやる」

とか、
とてつもなく大きな事を言いながら僕から小金をせびるだけだったので、
約1年ほどで、お付き合いが出来なくなってしまいました。
周りからは

「あんなのを信じたお前が馬鹿だ」

と嘲笑されましたが、
騙すより騙される人間、信じないより信じて傷つく人間でいたい、
と今でも思ってます。・・・強がり?(笑)。

それにしても、もしも本当に京本さんの付き人にしてもらえてたら、
仮面ライダーの話やキャラクター玩具の話が京本さんと出来たかもしれないなぁ。




ソフビ魂シリーズの仮面ライダー
キャッチフレーズは、“手軽に遊べるハイクオリティ”だそうです。バンダイ製。
アクションスーツの質感の再現にこだわった、全長約17センチのソフビで、
昭和・平成を問わず、さまざまなライダーのラインナップが進行中です。
その中から今回は3体選んでみました。

仮面ライダーと言えば、やはりこの人、旧2号。
単に、変身ブームを巻き起こした初代ライダー、
というだけではなく、
日本のアクションヒーローのパイオニア的存在です。
2号ライダーがいたからこそ、
その後のライダー、その後のヒーローの活躍が、
今日あるのです。
そんな2号ライダーの功績への敬意が、
この人形の、
ディテールに至るまでの精巧な作りに
現れている気がします。カッコいいです。
 あまり商品化の機会に恵まれないZXが
 ラインナップされただけでも嬉しい事なのに、
 このシビれるほどカッコいいフォルムに喜び倍増。
 雑誌上におけるスチール写真のみでの存在から、
 後に
 特番としてのテレビ番組化を果たした経緯は、
 仮面ライダーの揺るぎない人気を物語るもの。
 この人形のクオリティが、
 それを熱く伝えてくれています。
 仮面ライダーの偉大さを賛美する、
 まさに、“電撃・稲妻・熱風”なアイテムです。


つい先日発売になった電波人間タックル。
エレガントな雰囲気で、とても気に入っています。
僕は明らかにタックル目当てで
『仮面ライダーストロンガー』を毎週見てたので、
この人形を見る度、幼い恋心が甦り、涙が出そうになります。
実物の再現にこだわったマスクの
透明パーツから凛々しく覗く瞳を見つめていると、
勇ましいけど全然強くない(笑)彼女の事が思い出され、
胸がキュンとなります。
美しくたくましい太腿も、健気で可愛らしい膝小僧も、
ヒロインとしての気高さを保ちながら程よくリアルで、
人形のコケティッシュな魅力を素敵に演出しています。
手袋やブーツも、手の平や足の裏の部分は
実物通りちゃんと別の色で塗装されており、
対象年齢15歳以上の人形とはいえ、
その凝った作りには感嘆してしまいます。
唯一の不満は、アンダーショーツが赤である事。
確か第1話の時は、
純白のアンダーショーツを穿いていたと思ったけど、
記憶違いかな。
まぁ、記憶が正しくても正しくなくても、
やっぱり下着は白が良いです(笑)。
誌上限定か何かで、
白のアンダーショーツバージョンも出してくれないかなぁ。

       あ、そうだ。いちばん言いたい事忘れてた。
       タックルに仮面ライダーの称号を与えないのは、明らかに女性蔑視です。
       怒れ、フェミニスト!
       吠えろ、田嶋先生!(笑)
       僕の心の中では、彼女は電波人間タックルではなく、仮面ライダータックルです。




プライズの仮面ライダー
ゲームセンターなどでおなじみ、UFOキャッチャーの専用景品です。バンプレスト製。
全長約40センチのビッグサイズソフビや組立式ソフビなど様々なシリーズがあり、
リアルな造形の、いろんな仮面ライダーが楽しめます。
写真は、全長約16センチの、コレクタブルというシリーズの中から、
新1号と新2号、そして、アマゾンとクウガ アメイジングマイティを選んでみました。
ポーズがカッコいいです。
特に新2号は、腕と足のラインが太いタイプで、
モスキラス&シオマネキング編に登場した時の、最も感動的な姿での商品化ですので、
とても気に入っています。大好き。
そういえば、先日、
一文字隼人を演じた佐々木剛さんのサイン会で、
佐々木さんにお願いして、頭を撫でてもらいました。感無量。嬉しかったぁ〜。


食玩の仮面ライダー
お菓子のオマケ、全長約9センチの小さな人形です。バンダイ製。

   向かって左側の写真は、ソフビ道というシリーズの旧1号と旧2号、そして、X3。
   右側の写真は、昭和の終わり頃に発売されていた旧1号とX3。
   左側のソフビ道シリーズのレベルには程遠いクオリティですが、
   まだ“食玩”なんて言葉が一般に浸透していない頃の“食玩”として、貴重な存在です。

こちらは、テレビマガジンの誌上で
限定販売された人形ですので、
厳密には食玩とは言えないのかもしれませんが、
食玩サイズ、という事で紹介させていただきます。
平成14年の『仮面ライダー龍騎』に登場した
13人のライダーと
そのクリア成形版などがセットになってます。
僕はこの13人のライダーの名前がなかなか
憶えられず(憶えても会話の際にスッと出ず)、
自分が老化し始めている事を痛感しました(笑)。

『仮面ライダー龍騎』は、
13人の仮面ライダーが『バトルロワイヤル』のような世界を展開する、
仮面ライダーシリーズきっての異色作。
その破天荒なシチュエーションが、
放送開始当初は何かと物議を醸しましたが、
“仮面ライダー”というキャラクターは、そんな衝撃的な作品世界も難無く許容。
結果的には高い評価を受ける事になりました。
平成ライダーシリーズを世間に定着させる事に大きく貢献した作品だと思います。
        
余談ですが、
この年のパリコレで、コム・デ・ギャルソン・オム・プリュスが
龍騎の絵をプリントしたオープンシャツを発表した際、
スタンディング・オベーションが起きた、との事です。
のびのびとした豊かな発想力と新しい価値観をもって
パリコレのメンズシーンを進化させてきたデザイナー・川久保玲さんならではの仕事、
と言えるエピソードです。
“仮面ライダー”というキャラクターは、川久保さんの美意識をも刺激し、
パリコレへの新たな戦略に一役買ったわけです。
仮面ライダーが、
特撮とかヒーローとか児童文化とかとは全く無縁な場所でも活躍出来るのも、
その柔軟なキャラクター性あればこそ、です。
仮面ライダーって本当に凄い。
        ★
そういえば、その頃、僕はキャバクラで働いていて、
或る時“仮面ライダー御一行13名様”で予約が入り、
龍騎やナイトや王蛇などが全員来るのか、とドキドキしたものでした(笑)。
実際には、名古屋でのイベント終了後に、
ゲストとしてそのイベントに参加された『仮面ライダー龍騎』の主演俳優2名と、
スタッフの方11名が来られたのですが、
幼い子供のいるホステスさんは番組を知っていたので、
生で見る若いイケメン俳優に狂喜乱舞。
僕は、夜の街を、サイン色紙を買いに走らされたのでした(笑)。

また、その『仮面ライダー龍騎』から『仮面ライダー響鬼』までの4年間は、
子供用シャンプーにもソフビ人形のオマケがついていました。バンダイ製。

    向かって左から、龍騎、龍騎サバイブ、剣、555、響鬼。
    一見、食玩のようですが、
    食玩よりも1センチほどサイズが大きく、型も異なります。



そして、
現在のライダーソフビでもっともポピュラーなのが、
バンダイのライダーヒーローシリーズ。
定価700円・全長約17センチは、現在のスタンダードサイズ、と言えるでしょう。
平成元年に“仮面ライダーシリーズ”として誕生し、
その2年後、現在の“ライダーヒーローシリーズ”という名称に改められました。
幾度かの絶版とリニューアルを繰り返し、
素材や彩色などの仕様を変更しながら、現在に至っています。

アマゾンの、
発売時期によるバリエーション。
微妙なカラーリングの変化が、
おわかりいただけるでしょうか。
ライダーヒーローシリーズの歴史、
♪ここにあり〜。 
体の模様は、
最新のもの(向かって右端)以外は、
前面しか塗装されていません。
映画の前売券とセットで、
劇場において限定販売された
カブト クロックアップバージョンと、
店頭キャンペーン抽選品の、
ゴールドクリア成形による
アギト グランドフォーム。
バージョン違いのソフビが、
限定品とか抽選品とかになるのが、
昨今の流行りのようです。


        下の写真は、
        平成12年にラインナップに加わり、現在では絶版の旧1号。
        発売期間が短かったため、
        発売時期によるバリエーションの違いは無いと思いますが、
        販売形態の違いによって3種類のバージョンあります。


       
        向かって左から、
        単品売りバージョン、
        セット売りバージョン、
        東映ヒーローネット限定販売バージョン(桜島バージョン)。
        右端の人形は、
        バンダイが開催する問屋さん向けの見本市で紹介されたサンプル版。
        肌色成形に手塗りの塗装が施されてます。

それにしても、1号を新1号と旧1号に、
更には、旧1号をノーマルバージョンと桜島バージョンに細かく分けて商品化、とは、
キャラクター玩具の世界もずいぶん進んだものです。
1号と2号の区別すら無責任で適当だった昭和のソフビ人形とは、えらい違いです(笑)。


そして最後に、
現在放映中の『仮面ライダー電王』。
向かって左から、電王プラットフォーム、モモタロス、電王ソードフォーム。
主人公・野上良太郎が変身した電王プラットフォームにモモタロスが憑依して、
電王ソードフォームになります。
モモタロス以外にもいろんなイマジン(未来から来た精神生命体)が憑依して、
いろんな姿、いろんな性格、いろんな能力の電王になります。
脚本や演出も素敵ですが、出演者(スーツアクターや声優も含む)の方たちの力量には、
毎回圧倒されてしまいます。素晴らしいです。
本当におもしろいから、見ていない人は是非見て下さいね。
でも、このサイトに来て、
こんなにダラダラ長い文章をここまで読んでくれたような人なら、
当然番組も見てるかな(笑)。


新しい仮面ライダーはこれからも作られていくでしょう。
その度に
「あんなの仮面ライダーじゃない」
なんて言われながら(笑)。
でも、だからこそ、仮面ライダーは凄いのです。
そんな意見は屁とも思わず、どんどん進化・発展していきます。

また、『ウルトラマンメビウス』の成功を東映が見ていないわけがないので、
仮面ライダー生誕40周年には、
昭和の仮面ライダーたちもまた甦り、何か仕掛けてくる気がします。
とっても楽しみです。

仮面ライダーは無敵です。そして、永久に不滅です。

それでは、みなさんも御一緒に。
♪いーじゃん、いーじゃん、スゲーじゃん?!


                  前回へ       目次へ       次回へ