真水稔生の『ソフビ大好き!』


第147回 「Hey!Say!ジャンボ」  2016.4

    ナゴヤドームに行ってきました。
中日-巨人の第1回戦。
3対2で、
見事ドラゴンズが逆転勝利。
開幕早々、美味しいビールが飲めました。

しかも、
僕が特に応援している堂上直倫選手が、
今日はスタメンで出場し、
マルチヒットを放ったうえに
決勝点に繋がる大事な送りバントも
しっかりと決めて大活躍でしたので、
それも嬉しかったですね。

大ファンだった山本昌選手が引退してしまった今、
僕の “推し” は、
堂上直倫選手なのです。

地元出身だし、
インタビューの受け答えなんかを見ていると、
礼儀正しくて、爽やかで、好感が持てる青年だし、
非凡な野球センスを持っている、
実に魅力的な選手なので、
もっともっと活躍してほしい(活躍出来る)と思っています。

それに、
僕が子供の頃に応援していた堂上選手の息子さんなので、
そう思うとなんだか感慨深く、
現在は巨人の選手である兄の剛裕選手共々、
ほかの選手を観る時とは違う感情が湧いてしまうンです。

プロ野球ファン、
特にドラゴンズファンなら
知らない人はいないと思いますが、
堂上兄弟のお父さんも、ドラゴンズの選手でした。

堂上照さん。
体がデカい事から
“ジャンボ” の愛称で親しまれた投手で、背番号は13。
現役生活は、
昭和49年から60年までの12年間で、通算35勝49敗7セーブ。

この数字からも判るとおり、
球史にその名を残すような大投手では
失礼ながらなかったのですが、
僕が球場へ観に行った試合では、
何のめぐり合せか登板される機会が多く、
それも、
完投勝利でお立ち台に上がったり、
見事な中継ぎでチームに勝利を呼び込んだり、と
やたらと印象的で、
僕の中では、間違いなく “スター選手” でした。

また、
そんな試合での活躍とは関係ないところでも、
僕には、堂上さんで忘れらない思い出があるのです。

あれは、
小学6年の時ですから、昭和51年、
クラスメイト数人とナゴヤ球場に中日-巨人戦(ナイター)を観に行った際の事。
開門と同時に入場し、
ライト側外野席の最前列を陣取った僕らは、
試合前の練習から、
食い入るように
グランドの選手たちを見つめていました。

すると、しばらくして、
堂上さんが、
フェンスに沿ってライトとレフトの間を往復するランニングを始めました。

その年は、
堂上さんがプロ入り3年目にして初勝利を挙げた記念すべきシーズンで、
“遅咲きの花” と言われながら
ようやく全国に名前が知られるようになった頃でしたので、
そんな、
“旬” な選手である堂上さんが目の前を通った事で、僕らのテンションは一気に上がったのです。
思わず、

 「ジャンボーっ!」

 「ジャンボ、頑張れーっ!!」

と、誰からともなく大声を張り上げました。

最初は無視されましたが、
2往復目には、手を振ってくれて、
3往復目には、
スタンドの僕らに向かって、

 「疲れた」

なんて言って、笑顔で対応してくれました。

それが嬉しかった僕らは、
4往復目も5往復目も6往復目も、

 「ジャンボーっ!」

 「ジャンボ、頑張れーっ!!」

と大声を張り上げ続けました。

するとその6往復目、
堂上さんは、
先ほどの笑顔とは一転、眉間にシワをよせ、こう返してきました。

 「うるせェな、チビどもがっ!」


・・・僕らは凍りつきました(笑)。

今思えば、
かなりしつこかったし、
確かにうるさかったかもしれませんが、
子供です。
お金を払って球場に観戦に来たファンです。
しかも、
ヤジを飛ばしたのではなく、「頑張れ」と声援を送っていたのです。
なのに怒られるなんて、
信じられない出来事でした。

月日は流れ、
そのうるさいチビどもの1人だった僕は大人になり、
自分の野球チームを持ち、地元の軟式野球連盟に所属したのですが、
或る年、
その連盟の合同監督会議に、
当時、ドラゴンズの選手寮の寮長を務めていらっしゃった堂上さんが、
なんと、講演にやってきました。

そして、
現役時代のエピソードや、
プロ野球選手となった息子さんたちへの思い、
これからの野球界について、など、
いろんな話をして下さった中、
堂上さんは、
こんな事もおっしゃいました。

 「野球をやっている子供達や、
  球場へ応援に来てくれる子供達は、
  野球界の宝。
  未来の野球界のために、
  その宝を、私達は大切に育てなければなりません」

僕は思わず吹き出し、

 おいおい、どの面さげて言うとンねん!
 あんた、その宝に何した?
 鬼みたいな顔して
 「うるせェ!」って怒鳴ったやないか!
 
と、心の中でツッコミを入れました。

公演終了後、
質疑応答コーナーがあったので、
その、子供の時に応援したら怒られた話を持ち出して蒸し返し、
今、どう思うのか聞いてみよう、
と挙手したのですが(笑)、
時間の都合で
1人の人の質問しか受け付けてもらえず、
僕は当ててもらえなかったので、思いは叶いませんでした。

ちなみに、
当ててもらった方の質問は、

 「御自分が投手なのに、
  どうして息子さんたちは、2人とも投手にしなかったのですか?」

でした。
堂上さんは答えました。

 「小さい頃にキャッチボールしたら、
  2人とも俺と投げ方がそっくりだったので、
  投手にだけはなるな、と言いました(笑)」

と。

おもしろかったので、
昔の事は許してあげる事にした次第です(笑)。


そんなわけで、
堂上さんの息子さんを特別な思いで応援してしまう僕は、
今日も、

 「直倫、頑張れーっ!!」

と何度も声援を送りました。

直倫選手は、
「うるせェ!」なんてもちろん言わず、 
冒頭でも述べたとおり、
勝利に貢献する素晴らしいプレイで、鮮やかに応えてくれました。

お父さんとは、
人間の “出来” が違うようです(笑)。



というわけで、
今回は、
堂上さんの愛称 “ジャンボ” に因みまして、ジャンボーXのソフビを紹介します。

    ジャンボーX
ブルマァク製、全長約31センチ。

ジャンボーXは、
昭和45年、
円谷プロが小学館の学年雑誌に連載していた、
漫画『ジャンボーX』の主人公で、
まもる君という少年が変身するヒーローです。 
  当時幼稚園児だった事もあり、
その連載漫画を読んだ事が無かった僕は、
大人(ソフビコレクター)になってこのソフビと出逢った事で
初めて、ジャンボーXの存在を知りました。
なので、
あまり詳しくないのですが、
なんでも、
変身するまもる君は “ウルトラセブンの弟” という設定、との事。

・・・う~ん、難解な設定だ(笑)。 

           
       
  ちなみに、この『ジャンボーX』が、
3年後の昭和48年に、
『ジャンボーグA』という特撮テレビ番組に進展します。

ジャンボーグAは
御存知のとおり
立花ナオキが操縦する巨大ロボットですから、
ずいぶん設定や内容が練り直されたようですね。
 
 
     
     
  こちらは、
さらに大きい(ジャンボな)サイズで、全長約37センチ。

ほかのサイズもあったのかなぁ・・・? 
               
           

  それにしても、
ブルマァクならではの洗練された造形力は、
微塵も感じさせないソフビです(笑)。

でも、
いかにも昭和の漫画のキャラクター、
って雰囲気で、
結構気に入っていたりしますけどね。
 
 


 
また、
『ジャンボーX』の前年には、
同じく円谷プロが『ミラーマン』の漫画を連載していました。

その主人公・ミラーマンの人形が、こちら。
ブルマァク製、全長約28センチ。

昭和46年に放映が開始された、
テレビ番組の『ミラーマン』に登場するミラーマンとは、
デザインが異なります。

『ミラーマン』も、
『ジャンボーグA』同様に漫画連載を経て、後にテレビ番組化された、
というわけです。
 
実は、この人形、
僕が子供の時に持っていたものなンです。

以前、
第9回「足の裏のロマン」第98回「美しき侵略者」の中でも紹介した、
マルサン製のメトロン星人人形と同じで、
もうソフビで遊ぶ年頃ではなくなった際に、奈良に住む従弟に一旦あげたものを
その従弟が大人になってから、
僕がコレクターになった事を知って返してくれた、という人形なのです。

確か、
子供の頃住んでた長屋の大家さん
 (いつも犬を連れていたので “犬のおばちゃん” と呼んでました)が、
何かの時にプレゼントしてくれたものですが、
『ジャンボーX』同様に、当時の僕は漫画の存在を知りませんでしたので、

 何?これ。・・・誰?

って思った事を憶えています。

あの頃、
大人がソフビ人形を買ってきてくれると、
子供番組やキャラクターに関する知識が無いため、
こういった、なんだかよくわからないキャラクターの人形を選んできてしまうケース、ありましたよね。

ソフビ人形を買ってきてもらえる、と
楽しみにしていたのに、
それがマルサンのオリジナル怪獣だったり、
海賊版の変なヒーローだったりして、
今イチ嬉しくなかった、
なんて経験がある人、僕と同世代なら少なくないでしょう。

ただ、
この人形に関しては、
僕はそんなビミョーな気持ちにはなりませんでしたね。
知らないキャラクターゆえ一瞬戸惑ったものの、デザインがカッコよくて、すぐに気に入ったンです。
      “○○マン” とか “○○仮面” とか勝手に名前をつけて、
オリジナルヒーローとして、
ほかの怪獣人形と闘わせて遊んでいましたが、
それによって人形に付着した、
この無数の汚れや傷が、
当時の僕の “お気に入り度数” の高さを物語っています。

我ながら、

 相当、遊び倒したなぁ・・・、

と感心してしまいますね(笑)。

こんなコンディションですから、
骨董玩具としての価値は低くなってしまうかもしれませんが、
僕の思い出のオモチャとしての価値は、超A級に高いです。
     
     
   



こちらは、いわゆるミニサイズですね。
全長約11センチ。

  『ジャンボーX』も『ミラーマン』も、
円谷プロとしては、
あくまでも、
将来の “テレビ番組化” を見越しての漫画連載。
なので、
言わば “企画段階のキャラクター” がソフビ人形として商品化されているわけで、
当時のブルマァクの、

 “なんでもいいからやってしまえ” という大味な社風、



 “なんとか怪獣ブーム・ソフビブームを再び” という情熱、

を、激しく感じます。

そういった意味では、
ジャンボーXとミラーマンの
これらソフビは、
ブルマァクというメーカーを語る際には必要不可欠な人形、と言えるかもしれません。



さてさて、
ここ3年間、下位に低迷している中日ドラゴンズですが、
山本昌選手をはじめとするベテラン選手が大勢いなくなって、
今年はチーム全体が若返りました。

『ジャンボーX』や『ミラーマン』が
連載漫画からテレビ番組へと結実したように、
この “チーム全体の若返り” が、
以前のような “毎年優勝争いをする強いドラゴンズ” へと
飛躍・結実する日が来る事を、
願って止みません。

たとえ「うるせェ!」と怒られても、僕はずっと応援し続けます。

 ドラゴンズ、頑張れーっ! 





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