真水稔生の『ソフビ大好き!』


第107回 「OH!ギャル」  2012.12

気づけば、もう、師走ですねぇ。
まだついこの間、お雑煮を食べていた気がするのですが・・・。
歳を取ると、
1年経つのがとても早く感じられます。
どうしてですかね?

僕は辰年なので
今年は年男でしたが、
干支があと一周したら、次はもう還暦。
こんなに早く感じるペースで1年が過ぎていったら、
あっという間にお爺さんになってしまいます。
・・・まぁ、
生きていれば、の話ですが(笑)。

1日1日を
よく味わって大切に生きなきゃな、って改めて思います。
お爺さんになるにしろ、死んでしまうにしろ、それに変わりはありません。
そこで、とりあえず、
気づけば1年経っていた今年を、
振り返ってもう一度よく味わい直してみる事にしました。

そうしたら、
このCDの事が、真っ先に頭に浮かびました。

       GAL(ギャル)

『薔薇とピストル〜コンプリート・コレクション』

昭和50年代のはじめに活動していた
“ギャル” というアイドルグループの、全曲集です。

『薔薇とピストル』、
『マグネット・ジョーに気をつけろ』、
『誘惑されて』、
『黄金仮面』、の
全シングル4枚に加え、
ファーストアルバムにして唯一のアルバム『ギャルのスペースオペラ』が
1枚丸々収録された、
タイトルどおり、
まさに、ギャルのコンプリート・コレクション。

おととし発売されたCDなのですが、
今年1年間、
僕は取り憑かれたようにこれを聴きまくりました。

きっかけは、星屑スキャットでした。

星屑スキャットとは、
ギャランティーク和恵さん、ミッツ・マングローブさん、メイリー・ムーさんの、
3人のドラァグクイーンによる歌謡ユニットで、
7年間のライブ活動を経て、
今年の2月、ついにメジャーデビューを果たしたのですが、
そのデビュー曲が、
ギャルの『マグネット・ジョーに気をつけろ』のカバーだったのです。
振り付けまでほぼ完璧にコピーして歌っている星屑スキャットの映像をテレビで見て、
めちゃくちゃ嬉しくなって、
久しぶりにこのCDをライブラリーから引っ張り出しました。

僕はギャルの事が好きだったし、
『マグネット・ジョーに気をつけろ』も名曲だと思っていたのですが、
なにせ
オリコンランキングにチャートインすらしなかったマイナーな曲なので、
熱く語っても共感してくれる人が周囲におらず、
10代の頃から
次の年男の際には還暦を迎えるような年齢になるまでの長い間、
ずっと淋しい思いをしてきたのです。

でも、
星屑スキャットがカバーしてくれたおかげで、一気に心が満たされました。
プロの歌手であり、
昭和歌謡の専門家である彼ら(彼女ら?)が
自分たちのメジャーデビュー曲に選ぶくらいなのだから、

 『マグネット・ジョーに気をつけろ』はやっぱり名曲なンだ、
 僕のセンスはおかしくなかった、僕は間違ってなかったンだ、

と嬉しくなり、
長年誰にも相手にされず
自分の中におさえつけてきた “ギャル愛” が、大噴火したのです。

堰を切ったように、
何十回、何百回とこのCDをかけ続け、ギャルに浸りました。
1日中、部屋で流していた日もあります。

まさかのCD化に歓喜した2年前の購入時でさえ、こんなに聴きませんでした。
“毎日のように” ではなく、本当に “毎日” 聴いていました。

もちろん、
この原稿を書きながら、今もかけてます。
僕の今年1年の暮らしのバックに常に流れていたBGM、と言っても過言ではありません。

なので今回は、
このCDについて、僕の募る想いを綴る事にします。


まず、
ご存じない方のために、
ギャルというグループについて、述べさせていただきましょう。

結成は昭和52年。
当時はまだ、
今日のように “ギャル” という言葉は一般には浸透しておらず、
“GAL” と英語表記されたら、
“ガル”、あるいは、そのまま “ジー・エー・エル”、と読んでしまうような、
そんなレベルのものでしたので、
“ギャル” と聞いて思い浮かべるイメージは、現在とは違っていました。
聞きなれない、意味のわからない、
それゆえ、
時代の最先端を行くような、
そんな、なにやらカッコいい響きの、洒落たグループ名に感じられたものです。

メンバーである、
石江理世さん、黒木真由美さん、目黒ひとみさんは、
3人とも、元々、
山口百恵さんやピンク・レディーなど
多くのスター歌手を輩出した伝説的オーディション番組『スター誕生!』において、
それぞれ見事合格してスカウトされ、
すでにソロデビューを果たしていたのですが、
レコード会社や所属事務所の思惑どおりのセールスには至らず、
トリオを組んでの仕切り直しデビュー、となったようです。

ピンク・レディーが人気絶頂の中、
キャンディーズの解散が決まった頃でしたので、
“キャンディーズの後釜にしてピンク・レディーの対抗馬” を狙うグループは
ほかにもたくさんありましたが、
ギャルの場合は、
現役アイドル歌手が集まっての結成だったので、異質な登場でした。
歌番組出演の際、

 「仲良し3人組がトリオを組みましたー!」

みたいな紹介をされていましたが、
売れていないアイドルが興行的事情で集められた事は、当時中学生だった僕にも解りました。

でも、
所属事務所が2回も売り出そうとしただけあって、
ギャルの3人は、
素晴らしい歌唱力と美貌を兼ね備えた、
実に素敵なお姉さんたちでした。
今、CDを聴いたり、YouTubeにアップされてる当時の映像を見たりしても、
惚れ惚れするほどの才能と可能性を感じます。凄いです。

石江理世さんは、
パンチの効いた、それでいてしっとりとした色香が漂う、艶やかな歌声、
黒木真由美さんは、
甘い透明感がはじける、きらびやかな歌声、
目黒ひとみさんは、
物柔らかくて、丁寧で品のある、しとやかな歌声、
そんな、
それぞれの声質・個性が、
バランスよく調和したハーモニーの迫力ある美しさは、天下一品。
とても魅力的です。

デビュー曲は、『薔薇とピストル』。
惚れた男にピストルを突きつけ、
今すぐ私を「大好き」と言いなさい、さもないと・・・、と迫る、
女性の追いつめられた恋心を歌ったものですが、

 ♪ 好きになれば 命がけよ

とか

 ♪ ためらっては駄目 時間がないわ

とか、
そんな緊迫した歌詞が、
“これで売れなきゃアイドル歌手廃業” という、
そんな崖っぷちに立たされた当時の3人の現実に置き換えて解釈する事も出来、
そう思って聴くと、
感慨深いものがあります。

ソロ歌手時代の清純派アイドルのイメージを
セクシー路線に一気に転向させた、
真っ赤なジャケットにタイトなホットパンツ、という衝撃的な衣装も、
今思うと、
切羽詰った彼女達の覚悟を表しているようで、スリリングな色気がありました。

でも、
生き残りを賭けたその再出発も、
結局、華々しい成功をおさめるには至らず、
わずか2年弱で解散する事になってしまった結果を考えると、
彼女たちの魅力に惹かれながらも
レコードも買わずリクエスト葉書の1枚も書かず、
それこそ「大好き」と言わなかった事を、僕はとても後悔してしまいます。


そんなギャルの
『薔薇とピストル」に続く第2弾シングルが、
冒頭で述べた、
星屑スキャットがデビュー曲に選んだ、『マグネット・ジョーに気をつけろ』でした。

まるで磁石のように女心を吸い寄せてしまう、
“マグネット・ジョー” の異名をとるレディーキラーの事を歌っているのですが、
これが、
昭和歌謡独特のアクの強いメロディーで、僕の感性をいまだに強く激しく刺激します。

『薔薇とピストル』もそうでしたが、
作詞が阿久悠さんで作曲が川口真さん(これ、『ウルトラマンタロウ』の主題歌コンビ)、
という、
最初から名曲になる事が約束された作品を、
我が愛知県が生んだ偉大なる作編曲家・馬飼野康二さんが
濃密かつ劇的なサウンドにアレンジ、
そして、
ギャルの磨かれたコーラスワークが見事なまでにそれに応えています。
何回繰り返し聴いても、全然飽きが来ません。
最高にカッコいいです。

当時、僕は、
こんなに歌が上手で、
こんなに綺麗なお姉さんたちが、
こんなにいい歌を歌って、
どうして売れないのか、とても不思議に思っていました。

デビュー曲の『薔薇とピストル』は、
レコード売上約4万枚で、
オリコンランキングにも、
最高53位と今ひとつながら一応チャートインはしていたようですが、
2曲目の、
この『マグネット・ジョーに気をつけろ』は、
先述のとおり、
オリコンランク外、と全く不発。
『薔薇とピストル』がパワーアップした感じで、
むしろこちらの方が完成度は高いように思われたのですが・・・。

優れた楽曲が人知れず埋もれていくのは、とても悔しく哀しい事でした。
・・・まぁ、
デビュー以来、ギャルの売上・活躍に一切貢献していなかった僕が
偉そうに言える事ではないのですが・・・(苦笑)。

でも、
だからこそ、
星屑スキャットがカバーしてくれた事が嬉しいのです。
昭和歌謡のファンとして、
ギャルのファンとして、
このカバーに、感謝と称賛の意を贈ります。

 よくぞ、よみがえらせてくれました。素晴らしいっ!

そういえば、
ギャルのメンバーの一人だった目黒ひとみさん(現在は、山本浩子の名でソロ歌手)も、
御自身のブログ上で、
なぜこの曲を?と驚きながらも、大いに喜び、エールを送っておられました。

なので、
星屑スキャットには、
NHKの『紅白歌合戦』にも出場してほしかったなぁ・・・。
エンターテイメント性だって歌唱力だって、申し分ないのだから。
・・・あ、もしかして、
おねぇタレントゆえ、紅組でも白組でもないから、選ばれなかったのかな?(笑)



さて、
今回のテーマである、
このギャルのCDについて、ですが、
これは熱くて濃い1枚です。

冒頭で述べたとおり、
シングル4枚(B面の曲も含めて8曲)の後に、アルバムが丸々1枚収録されているのですが、
このアルバムが、あなた、
もう珍盤中の珍盤。
とんでもない代物なのでございます。

詳しく中身を紹介しますと、
まず、
『ギャルのスペースオペラ』というタイトルどおり、
アルバム全体が
宇宙を舞台にした音楽劇になっていて、
曲と曲の間に3人の掛け合いの台詞が入っています。
ストーリーは、
宇宙へと逃亡したマグネット・ジョーを、
ギャルの3人が宇宙船に乗り込んで追いかける、
という壮大な(笑)もの。

オープニングは『マグネット・ジョーに気をつけろ』。
そして、
マグネット・ジョーが宇宙へと飛び立つと(なぜ宇宙へ行くのか?は謎(笑))、
それを追いかけようと、
3人は身ごしらえをします。

 「用意はいい?」

 「網タイツは?」     「OK!」

 「ガーターベルトは?」 「OK!」

 「薔薇とピストルは?」 「OK!」

 「ギャルの装備、完了!」

と言って、
デビュー曲『薔薇とピストル』に入っていく展開は、見事。
上手く出来ているし、小気味良いです。

このアルバムを丸々収録したせいで、
CDとしては、
『マグネット・ジョーに気をつけろ』と『薔薇とピストル』が
シングルとダブってしまっていますが、
先述したとおり、
『マグネット・ジョーに気をつけろ』は何度聴いても飽きない名曲だし、
『薔薇とピストル』に関しては、
シングル版とはミキシングのバランスが異なるので、
重複収録の退屈さを感じる事なく楽しめます。

また、
この2曲に続く、アルバム用に書かれた楽曲も秀作揃いで、聴き応え抜群。
3人の、歌手としての技量の素晴らしさが、
存分に味わえます。

・・・え?
そんなに良い仕上がりのアルバムが、どうして珍盤なのか、って?
いえいえ、
確かにここまでは “珍盤” ではなく “隠れた名盤” と呼べる出来なのですが、
問題はこの後にあります。

後半に入ると、
なぜか、
『ムーミン』だの
『ひみつのアッコちゃん』だの
『キャンディ・キャンディ』だのといったテレビアニメの、
主題歌、いわゆる “アニソン” のメドレーが、唐突に始まるのです。

これはズッコケます。
別に、アニソン自体が悪いというわけではないし、
実力派の彼女たちですから、
そつなく歌いこなしている
(『ひみつのアッコちゃん』なんて、聴いててとても心地イイ)のですが、
その高度な歌唱力や表現力を
プロデューサーが乱用している気がして、残念なのです。

例えるなら、それは、
食通も唸らす、知る人ぞ知る名店だった和食レストランが、
ハンバーグやラーメンなどもメニューに加えて、
突如、大衆食堂に変わってしまったような、そんな違和感。

一応、
宇宙を旅しながら地球が恋しくなり、

 「こんな歌が好きだったわ・・・」

と言って、
郷愁の念からアニソンメドレーに入っていく、という流れはあるのですが、
節操の無い構成の不誠実さは誤魔化しきれません。
挙句の果てには、
マグネット・ジョーだと思ったらルパンV世だった、
なんて言って
『ルパンV世のテーマ』のスキャットに入っていくのですから、
もう、完全にストーリーの破綻。
途中でぶん投げたとしか思えない展開なのです。

何でもアリ、なのが歌謡曲だし、
何を歌わせても成立するであろう才能豊かな3人なので、
いろいろやらせてみたくなるプロデューサーの気持ちは
解らないわけでもないのですが、
何もこのアルバムでアニソン歌わせなくても・・・、って思います。

コンセプトが、
中途半端・・・と言うより支離滅裂なため、
全体の雰囲気がぶっ壊れてしまっています。
おかげで、
せっかくの “隠れた名盤” が、
見事(笑)に “珍盤” と化してしまいました。

ただ、
“珍盤” ではなく、“珍盤中の珍盤” と述べました。
ただの珍盤では終わっていないところが、このアルバムの深玄なる魅力です。
アニソンメドレーに紛れて、
我らが特撮ヒーロー番組の主題歌も歌われているのですが、
収録されているのが、
なんと、
『スーパーロボット レッドバロン』、
『スーパーロボット マッハバロン』、
『小さなスーパーマン ガンバロン』の、
いわゆるバロンシリーズの主題歌3曲なのです。

なんともマニアックなチョイスで、

 は? なんで?

って思う人がほとんどでしょう。
『ムーミン』や『ひみつのアッコちゃん』などといった有名アニメ作品と並べるなら、
『ウルトラマン』とか『マグマ大使』とか、
『仮面ライダー』とか『秘密戦隊ゴレンジャー』とか、
そういったメジャー作品の主題歌が選ばれると思うのが、普通の感覚ですからね。

バロンシリーズは、
ギャルの3人をデビューさせた『スター誕生!』と同じ日本テレビ系の番組である事、
そして、
レッドバロンの主題歌とマッハバロンの主題歌は
作詞が阿久悠さんだという事、
おそらく、
そういった関係で選ばれたのだと思いますが、
特撮ファンでなければ何の歌かわからないような、
はっきり言って一般的認知度の極めて低いバロンシリーズが
突然ぶっ込まれているのは、
まったくもって奇妙な事態であります。

それが、“珍盤中の珍盤” たる所以。
特撮ファンの僕であるがゆえ、
とてつもない希少価値を感じてしまいます。

このCDを購入して
初めてこのアルバムの存在を知ったわけですが、
まさかギャルの歌唱で特撮主題歌が、
しかもバロンシリーズなどというマニアックな作品の主題歌が聴けるなんて、
夢にも思いませんでした。
奇跡でした(笑)。

もしかしたら、
アニソンメドレーによって雰囲気がぶっ壊れた、などという、
そんな陳腐な評価で論ずる次元の歌謡アルバムではないのかもしれません。
節操の無い構成を、
先ほど “大衆食堂” に例えましたが、
ただの大衆食堂ではなく、
食べた事の無い料理が味わえる、言わば、“宇宙の大衆食堂”。
未知なる空間へと心を連れて行ってくれる、
そういう意味での “スペースオペラ”。

まさかのバロンシリーズ登場で、
ギャルというグループの美しさと哀しさが絶妙に絡み合い、
愛しい想いを今更ながらより熱くさせてくれます。

すべてのシングルに加え、
そんな “珍盤中の珍盤” も楽しめる、
ただ単にギャルの全音源が聴ける、というだけではないこのCD、
昭和歌謡と特撮ヒーローが好きな僕には、なんとも堪えられない1枚なのです。


それにしても、

 ♪エレクトリッガー 受けてみろ

とか

 ♪マッハコレダー ぶっ放せ

とか、
そんな歌詞を、
ギャルのお姉さんたちの澄んだ歌声で聴かされると、
嬉しいのと同時に
なんだか申し訳ないような気もして(笑)、
複雑な心境になってしまいます。


・・・と、
そんなわけですので、
今回はバロンシリーズのソフビの紹介、って事になりますが、
レッドバロンのソフビは
第85回「巨大ロボット作品の決定版は・・・」で、
ガンバロンのソフビは
第49回「子供に見せたい特撮ヒーロー番組」で、
それぞれ紹介済みですので、
今回は、残るマッハバロンのソフビを紹介します。

       
         


『スーパーロボット マッハバロン』は、
昭和49年の秋から翌年の春に放送された番組で、
『スーパーロボット レッドバロン』に続く、バロンシリーズ第2弾。
悪の天才科学者・ララーシュタイン総統率いるロボット帝国の侵略ロボットたちと、
KSS(国際科学救助隊)の隊員である嵐田陽が操縦する巨大ロボット・マッハバロンの、
世界平和を賭けた壮絶な戦いを描く物語。

第85回「巨大ロボット作品の決定版は・・・」で述べたように、
僕は『スーパーロボット レッドバロン』が大好きだったので、
この、新番組『スーパーロボット マッハバロン』の放送開始にも、
大いに胸をときめかせました。

また、
マッハバロンは、
レッドバロンと同じ真紅の姿でしたが、
レッドバロンよりも、
デザイン・造形がシャープで、バトルアクションにも “切れ” があり、
レッドバロンが新しくバージョンアップされたような、
そんなカッコよさを感じて、憧れていました。

ただ、
なぜか番組の内容に関する印象が薄く、
『スーパーロボット レッドバロン』のような、
忘れられないエピソードとか、好きだった敵ロボットとか、そういったものがありません。
放送当時、僕は小学4年生で、
毎週楽しみにして観ていた事は確かだし、
今でも主題歌が歌えるのですが、
それ以上の強烈な記憶が無いのです。

特撮ヒーローの研究本などに載ってる作品解説やスタッフのインタビューなどを読むと、
『スーパーロボット マッハバロン』は、
『スーパーロボット レッドバロン』よりも
進歩した、と言うか、
洗練された、と言うか、
そんな内容だったようなので、
映像そのものが整いすぎていて、逆に印象に残っていないのかもしれません。

それは、
まるでちょうど、
ギャルの『薔薇とピストル』と『マグネット・ジョーに気をつけろ』の関係のよう。
がむしゃらにぶつかって少しは手応えを得た1作目を、
品質で上回りながらインパクトで越えられない、2作目の哀しさとでも言いましょうか、
そんな宿命みたいなもの。

『マグネット・ジョーに気をつけろ』が売れなかった事の疑問や不満が、
『スーパーロボット マッハバロン』に対する自身の記憶が薄い事で、
妙に納得出来てしまいました。

番組の思い出について
いつものように熱く語る事が出来ないのが
ちょっと口惜しい、
そんな『スーパーロボット マッハバロン』でありますが、
『マグネット・ジョーに気をつけろ』に似たにおいを感じて、
今、無性に愛着が湧いています(笑)。

                       
                        ブルマァク製 全長約27センチ。


 
10歳の僕が、
マッハバロンの造形で
いちばんカッコいいと感じたのは、
その大きな手。
いかにも強そうで迫力を感じました。
今でも、誰かのごつい握り拳を見ると、
マッハバロンみたいだ、って思ってしまいます(笑)。


          ブルマァク製 全長約19センチ。

          ブルマァク製 全長約12センチ。

          ブルマァク製 全長約9センチ。


                 
             こちらは、
 2体とも、ポピー製 全長約14センチ。

 このように、
 カラーリングが違うものや、
 左足にマッハトリガーが付いてるタイプと、付いていないタイプがあったようです。

    マッハトリガーとは、
主人公・嵐田 陽が乗るスーパーカーで、
バロンの左足から入り、
シートが額の奥のコックピットまで運ばれます。
自分がそうやってマッハバロンの操縦席に着く事を、
ワクワクしながら夢見たものです。

そういった子供の憧れを、
ソフビ人形化の際に
ちゃんと再現しようとしているところが、さすがポピー。
やみくもにサイズ違いを量産するだけのブルマァクとは、
やはり違います(笑)。

ちゃちなオマケではありますが、
こういったところに、
長年にわたり児童文化をリードしていく玩具メーカーと、
一過性のブームとともに消滅していった玩具メーカーの、
“差” を感じます。
   


        これは海賊版で、 全長約14センチ。

パチモン人形とは思えぬ出来の造形で、カッコいいです。



そうだ!
星屑スキャット、
ついでにバロンシリーズの主題歌もカバーしないかなぁ(笑)。

昔、或る東海ローカルのテレビ番組にソフビコレクターとして出演させて頂いた際、
司会のKEN(オカマのケンちゃん)さんが
僕のコレクションのVTRを見て、

 「あら、キングギドラ! やだっ、ブースカも! ・・・いや〜ん、懐かしいわ〜」

と、
特異なリアクションで、派手に喜んで下さったのを憶えています。

テレビ用のパフォーマンス的要素もあったとは思いますが、
怪獣とかオモチャとかに対する大人の反応で、あんな表現は初めて見ました(笑)。

オカマであるがゆえでしょうか、
よくある、
オッサンのノスタルジアでもないし、
心は夢見る少年のまま、というわけでもない、
かといって、
決して茶化したり馬鹿にしたりしているわけではない素直な感動も感じられ、
KENさんのその所作・言動には、
なにやら不思議で趣深い “おかしみ” があったのです。

星屑スキャットの歌うバロンシリーズの主題歌も、
きっとそんな感じで、
オリジナルともギャルの歌唱とも違う、新鮮な驚きを感じさせてくれる気がします。

マジで聴いてみたいなぁ。



そういえば、
このCDを買った際、
歌詞カードに付いている解説を読んで、
デビューの翌年にメンバーチェンジがあった事を、初めて知りました。
『ギャルのスペースオペラ』発表の後、
僕がいちばん好きだった石江理世さんが脱退して、
中世古明代さんという方が加入していました。

石江さん突然の脱退も、
理由は不明、との事ですが、
リーダー格だった石江さんの脱退が響いて、ギャルは力尽きていったような気がします。
現に、
テレビ好き・歌謡曲好きの僕が、
メンバーチャンジ後のギャルを当時見聞きしていないわけですから、
テレビ番組への出演等も激減したんだと思われます。
『マグネット・ジョーに気をつけろ』がちゃんと売れていれば、
そんな事にはならなかったかもしれず、それを思うと残念でなりません。

あぁ、我が麗しのギャル。
30年以上の時を経て、これほどまでに恋しく想うとはなぁ・・・(苦笑)。




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