真水稔生の『ソフビ大好き!』


第82回 「自由を我等に」  2010.11

 「髪を切れ」

とか

 「茶髪は禁止だ」

とか

 「髭を剃れ」

とか

 「ピアスはするな」

とか、
そういう事を言う人が嫌いだ。

いったい何の権利があってそんな事を言うのか?
実に理不尽だと思う。

どんな髪型でいようが、どんな髪の色でいようが、
髭を生やしていようが生やしていなからろうが、
どんな服装をしていようが、どんなアクセサリーをつけていようが、
個人の勝手だし、自由だし、余計なお世話である。
髪型や服装というものは、
他人に押し付けたり、他人から押し付けられたりするものではない。

だいたい、そんなの、

 「私は人を見た目だけで判断しています」

って宣言しているようなものなのだから、人としてとても恥ずかしい事ではないか。
頭がおかしいンじゃないか?とさえ思う。


だが、
世の中には、そういう、
理不尽で、人として恥ずかしくて、頭がおかしいンじゃないか?って思える人が、
結構いる。
僕は不思議でしょうがない。
と同時に、
とても不愉快で、迷惑に感じている。

その最たる例が、高校野球。
なぜ、野球をやりたいと思う高校生だけが坊主頭にしなければならないのか、
僕にはさっぱりわからない。

先日、友人と飲んでいて、
高校野球の話題になり、激しい口論になった。
その友人が言うには、

 「高校球児は坊主頭だからいいンだ。
     あのひたむきさが、感動を呼ぶンだ」

だそうだ。

この人は馬鹿じゃないか、と思った。

じゃあ、
野球以外のスポーツを一生懸命やっている高校生は、ひたむきではない、と言うのか?
バスケやサッカーやマラソンや水泳には、一切感動が無い、と言うのか?

よくもまぁ、堂々と、
そんな、
1秒で破綻するような、矛盾と欠陥だらけのロジックを、
大の大人が何の迷いも無く主張出来るものだ、と呆れてしまう。

そんなヤツと友人である僕が恥ずかしいではないか。

坊主頭だからひたむき、なんて、ただの思い違いである。
坊主頭になんかしなくても野球は出来るし、
坊主頭にしたから凄いプレーが生まれるわけでもない。
当たり前である。

坊主頭と野球は、何の関係もないのだ。
坊主頭にしたいと思う高校球児だけが、坊主頭にして野球をやればいい。
だが、
多くの学校は、野球部員全員に坊主頭を強制する。
例外の学校もあるが、極めてその数は少ない。
“高校球児と言えば坊主頭” というイメージは、圧倒的に強いのだ。

坊主頭にしていないと、高野連に文句でも言われるのだろうか?
実に不思議である。
軍国主義の名残、との説もあるが、
だとしたら、
時代錯誤にも程があるし、
そんなものを伝統として学生スポーツに持ち込まれては(しかも野球限定で)、
たまったモンじゃない。
野球というスポーツを純粋に愛する日本人として、とても恥ずかしいし、実に不愉快な事だ。

どうしても高校球児は坊主頭にしなければならないのなら、
せめて、
それを強要している人たちとそれに賛成している人たち全員が坊主頭にしていなければ、
道理的に認められない。

だが、
当然の事ながら、皆、自由な髪型をしている。
もちろん、「高校球児は坊主頭がいいンだ」などと言っているその友人も、坊主頭にはしていない。

おかしいではないか。
そんなに坊主頭が素晴らしいなら、お前がやって見せろ。
簡単だぞ。
今すぐ僕がバリカンで剃ってやる。
他人に強制するほど素晴らしいと信じている髪形に、ほんの数分でなれるのだ。
今すぐ坊主頭にすればいいではないか。

だが、しない。
なぜか?

イヤだからである。
彼は、坊主頭がカッコ悪いと思っているからである。
なのに、
野球がやりたい高校生が坊主頭を強いられる事を、称賛しているのである。

そんな馬鹿な話があるか。
なんて身勝手で卑怯で薄汚いヤツなのか、と思う(・・・言いすぎかな?)。

ほとんどの高校球児は、
野球がやりたいから仕方なく坊主頭にしているだけ。
そういうものだと最初からあきらめて我慢しているだけ。

なんでそんな事がわからないのか。

坊主頭がイヤだから野球部に入らない子はたくさんいる。
野球とサッカーを同じくらい好きな子だったら、
見た目のダサさで野球部を外し、カッコいいサッカー部を選択する事は必至である。

たまたま、
イチロー選手が坊主頭にしてまで野球の道を選んだから良かったけど、
彼がもし、
坊主頭になるのがイヤだという理由で野球部に入らなかったら、
日本人がメジャーリーグの記録を塗り替える、なんていう素晴らしい出来事も起きていないし、
WBCだって、あれほど盛り上がっていないはず。

高校球児に坊主頭を強要する事は、
将来の日本の財産や誇りを損失させてしまっている可能性だってあるのだ。

高校球児が普通の髪型をしていれば、野球人口はもっと増える。
イチロー選手みたいな人が、
もっと何人も現れるかもしれないのだ。
なぜ、髪型を規制する事によってその可能性を断つのか、まったくもって理解出来ない。


髪型なんて、どーだっていいではないか!
髪が長いの短いの、って、そんな重要な事か?
そんなの勝手ではないか。
個人の自由ではないか。


僕はサラリーマン時代、或る上司に長髪をとがめられた事がある。

 「なぜ長髪だといけないのですか?」

と尋ねたら、

 「来客者や仕事相手に失礼だろ? そんな事は社会人として常識だ」

と叱られた。

長髪と言っても、
別にボサボサで不潔にしていたわけでもなく、
当時キムタクがやってたみたいに、後ろで束ねていただけである。
それのどこが失礼なのか?(・・・まぁ、似合っては、いなかったかもしれないけど(笑))

言わせてもらえば、
僕の長髪よりも、
その上司の、ゴキブリの羽を頭に乗っけたような髪型の方が
反吐が出るほど気持ち悪くて、
よっぽど相手に失礼で非常識なものだったと思う。

長い髪を後ろで束ねた僕と、
ベチャッとしていて黒光りしているゴキブリの羽のような汚らしい髪をした上司と、
どちらが会って不快か、
社員や来客者全員にアンケート調査してほしいくらいだった(笑)。

不潔だったり、だらしなかったりするのはNGだけど、
そうでないなら、
どんな髪型してようが、どんな髪の色してようが、
その人の勝手でしょ?
他人がとやかく言う問題ではないし、
仕事の出来が、髪型や髪の色で変わるのなら、そんな仕事はたいした仕事ではないだろう。

どんな髪型でいようが、どんな髪の色でいようが、
髭を生やしていようが生やしていなかろうが、
どんな服装をしていようが、どんなアクセサリーをつけていようが、
それがその人の美意識や自己表現に基づくものであれば、
それを否定したり、それと違う自分の嗜好や常識を強要する権利など、誰にも無い。

髪が短かけりゃあ、清潔なのか?
髪が黒けりゃあ、真面目なのか?

実にクダラナイ。
アホか!


・・・というわけで、
実は、昨日、
この髪を理由にバイトの面接で落とされたので、その愚痴でした(笑)。 ・・・スミマセン。







MAT隊員
ブルマァク製、全長約30センチ。

商品名は “MAT隊員” となっていますが、
郷秀樹を演じた団次郎(現在は、団時朗)さんに、
顔や髪型が似せてあるので、
郷秀樹以外のMAT隊員としては遊べません(笑)。

『帰ってきたウルトラマン』の主人公・郷秀樹は、
ウルトラシリーズにおける地球防衛チームの男性隊員としては、初の長髪であった。
もちろん、
長髪を理由に面接試験を落とされなかったから入隊出来たわけだし、
長髪である事を隊長や先輩隊員にとがめられるシーンも、見た事が無い(笑)。
髪型など、地球防衛と何の関係も無いからである。
もし、
MATの入隊規約に “長髪禁止” と記されていたら、
郷秀樹は入隊していないかもしれない。

そうなると、
当然、怪獣が暴れている現場に帰りマンが現れるタイミングも遅れ、
死傷者・被害者がたくさん出たであろう。

つまり、
MATが、
郷秀樹の長髪を認める組織だったからこそ、
偏見による見た目だけで人を判断しない組織だったからこそ、
大怪獣や凶悪宇宙人から地球は守られ、帰りマンはヒーローに成りえたのだ。

空想特撮番組とは言え、
『帰ってきたウルトラマン』は、極めて常識的で正常な世界の物語である(笑)。


 

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