真水稔生の『ソフビ大好き!』


第130回 「10年ひまつぶし」  2014.11

この『ソフビ大好き!』の毎月連載10周年を祝い、
読者でもある友人が
ひつまぶしをごちそうしてくれたので、
ウナギに因んで
“電気ウナギの怪獣” であるエレキングを特集しています。

今回は、その第2弾。
昭和の終わりから平成の、
リアル造形時代の、バンダイ系エレキング人形たちを紹介していきます。

  リアル造形時代のバンダイソフビと言えば、
まずは、やっぱり、
これ、ウルトラ怪獣シリーズ(ウルトラ怪獣コレクション)。
   
     初版の人形です。全長約17センチ。

 昭和58年の発売ですから、
 現在50歳の僕がまだ10代だった頃の商品、って事になります。
 改めて、驚いてしまいますね。
 マルサンやブルマァクがあるからインパクトが弱いけど、
 バンダイのウルトラ怪獣シリーズの初版、って、
 とんでもない年月を経た、
 正真正銘のアンティークTOYなンだなぁ・・・(笑)。 
     
      尻尾は、
これまでのエレキング人形と異なり、“うねり” がありません。
その代わり、先端がまっすぐ上に跳ね上がっています。
リアル志向ゆえ、
デフォルメ造形時代との差別化を図り、
エレキングの尻尾の特長である “長さ” を強調したのでしょうが、
それでも、実物の長さには遠くおよんでいませんので、
個人的には、
長い事による “カッコよさ” よりも、
うねっていない事による “物足りなさ” を強く感じてしまいます。
         
    “物足りなさ” と言えば、塗装もまだまだ緩いですね。
  これなら、マルサンの最初の人形の方が、まだ実物に近かったような・・・(笑)。 
   
    だからでしょうか、

 塗装が物足りない子は自身で塗って、
 もっとリアルな人形に仕上げよう、

とばかりに、
このような白色成型の人形も発売されていました。
同じく全長約17センチ。











 
           
           
    この2体は、リニューアル版。 
       
    向かって左側の人形は、
  昭和61年に発売された商品。
  このシリーズで唯一、
  人形本体にタグを打ち込まず、
  マルサンやブルマァクと同じように、袋入りの状態で発売されていた時期のものです。

  右側の人形は、
  平成3年の発売で、このシリーズの価格が500円から600円に値上げされた際の商品です。

  どちらも、
  全長約17センチですが、
  初版の人形と比べると、微妙に小さいです。

 
   
   
  月日は流れて平成12年、
21世紀を目前に、造形も塗装もグレードアップ。
価格も700円になりました。  
   


もう “物足りなさ” は感じませんね。
実物にそっくりでカッコいいです。
全長約16センチ。

今度は、尻尾もちゃんとうねってます。
こうでなくちゃね、やっぱ。
       
   
更に月日が流れた平成19年には、
成型色のクリーム色が、やや濃いものにリニューアル。
全長約16センチ。

実物のエレキングは、
最初に湖の中から現れたシーンでは
白い体色の怪獣でしたが、
湖のセットの水の中に溶かしてあった染料が染み込んじゃったり
格闘シーンの撮影で土や埃にまみれて汚れちゃったりしたせいで、
終盤のシーンでは
若干黄色っぽい姿に変色しています。
この人形の成型色の変更は、
そんな裏話を意識したマイナーチェンジでしょうか?(笑)
   
   
  イベント会場や特定店舗、
あるいは玩具雑誌の誌上などで、
一般流通の商品とはカラーリングの異なる人形が限定販売されるのも、平成ソフビの特徴。
         
     向かって左側の人形は、
 平成17年のウルトラマンフェスティバルの会場等で限定販売された、蓄光バージョン。

 右側の人形は、
 平成20年にイトーヨーカドーで限定販売された、クリアーイエローラメバージョン。
 どちらも、全長約16センチ。
   
   
  まだまだあります、エレキング人形。
ここからは、
ウルトラ怪獣シリーズ(ウルトラ怪獣コレクション)以外のソフビを紹介していきます。 
   
   







これは、
クレーンゲームの景品。
バンプレスト製で、全長約15センチ。

ほかにも、
ミクラスやキングジョーなどがあり、
確か、平成3年か4年に “こだわりモンスターシリーズ” って名前で、
突然登場しました。
          何にこだわったら
こんなカラーリングになるのかわかりませんが(笑)、
ウルトラ怪獣シリーズの流用ではない型が
新たに起こされていた事には、

 今後もリアルな造形をどんどん追求していきます!

という、バンダイの意思表明が感じられました。
しかも、
戦闘ポーズで造形されていたので、
その意思表明が、
マルサン・ブルマァク時代のデフォルメ造形を是とする層への
“宣戦布告” であるような気もしました(笑)。

 
   
   
  続きましては、ミニサイズのソフビ。 
    向かって左側の人形は、
昭和58年に発売された、
“ウルトラヒーローバトルボックス” という
ミニソフビセットの中の1体。
同時期に、
“怪獣くん” という商品名で単品売りもされていたようです。
バンダイ製で全長約9センチ。

右側の人形は、
平成に入ってすぐの頃、
“ウルトラ怪獣対決セット” という商品名で、
同サイズのセブン人形とセット売りされていたもの。
ユタカ(ハーティロビン)製で全長約9センチ。
左側の人形と同じ型ですが、
並べて比べてみるとやや小さく、
尻尾に至っては、かなり差があります
 
      金型が紛失でもして
左側の人形から型を取り直したのでしょうか・・・。
でも、
こんなに短くなっちゃった尻尾でも、
ちゃんとうねっているところに、
エレキングのプライドを感じます(笑)。
   
   
  そして、
ミニサイズのソフビと言えば、今の時代はこれ、食玩。 
    向かって左側の人形は、
平成13年発売の “ウルトラマンソフビ道” シリーズ。
バンダイ製、全長約9センチ。

右側の人形は、
平成17年発売の “プレイヒーロー” シリーズで、
ウルトラセブンとの対決セット。
バンダイ製、全長約9センチ。

よく似た人形ですが、
型、大きさ、成型色が微妙に異なります。  
      以前にも述べた事ですが、
  こんな精巧なつくりの人形がお菓子のオマケなのですから、
  いやはや、すごい時代になったものであります。
       
       
      これは、
第89回「ミスター・ウルトラファイト」の中でも紹介した、
『ウルトラファイト』版エレキングの人形。

平成18年に発売された『ウルトラファイト』のDVD−BOXに封入された、
14体のミニソフビの中の1体です。
バンダイ製、全長約10センチ。
      『ウルトラファイト』は、
昭和40年代半ばに放送されていた5分間の帯番組で、
毎日怪獣バトルが見られる事に、僕ら当時の子供たちは興奮を覚えたものです。
今見ると、
使い回しで劣化した着ぐるみ怪獣が
プロレスごっこのような闘いを繰り広げるだけの内容ですので、
僕ら以外の世代の人たちからは失笑を買いますが、その評価は誤り。
     
この番組があったからこそ、
第2次怪獣ブームが起きたのだし、

 “子供は怪獣が好きである”

という事実を世の中に広めて認知させた点では、
児童文化史において、
ソフビ怪獣人形と共通・同等の貢献度なわけで、
当時の状況や空気を認識せずに論じられるものではありません。

そういった事を主張するためにも、
劇中の着ぐるみの
ヨレヨレ具合・クタクタ感がリアルに再現されたこのソフビを所有する事は、
僕にとって意味のある事なのです。

 「わからんヤツは黙っとれ!」 「知らんなら、しゃべるな!」

そう心の中で痛快に吠えながら(笑)、
僕はこの人形をショーケースに飾っています。
   
   
   
  そしてエレキングは、
『ウルトラセブン』と『ウルトラファイト』だけでなく、
その人気・知名度の高さから、『ウルトラマンタロウ』にも登場しましたし、
平成のウルトラ関係の作品にも、度々登場しています。
では、最後に、
平成17年の夏から翌年の春にかけて放送された『ウルトラマンマックス』に登場したエレキングの、
ソフビ人形を紹介します。 
     
      まずは、これ、
バンダイ製ウルトラ怪獣シリーズ、全長約17センチ。




時代や登場作品は変われど、
エレキングの代名詞と言える、尻尾の “長さ” と “うねり” は健在。
でも、
従来のエレキングの尻尾と比べて細いからでしょうか豪快さが乏しく、
暗いと言うか、病んでると言うか、
なんだかちょっと薄気味悪い感じがします(笑)。
         
         
     





 
これは、
“ウルトラマンマックス対決セット” という商品名で、
同サイズのマックス人形とセット売りされていたものです。
全長約12センチ、メーカーはポピー。
 

尻尾が前にひねられた状態で造形・着色されています。
ブリスターパックに入れられての流通、
という事情から、
仕方なくこうなったンだと思いますが、
怪我の功名、とでも言いますか、
偶然にも、
今までのエレキング人形には無かった “個性” が出ました。
面白い人形だと思います。
         
     




これは、ガチャポンのソフビ人形。
バンダイ製、全長約8センチ。



2回にわたって紹介した、
歴代のエレキングソフビの魅力、いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけましたか?

・・・あ、、
僕が楽しんでるだけか(笑)。 
スミマセン。

でも、
こんな事を
10年以上も続けながら余暇を心地よく満たしている僕の事を、
和やかに笑っていただければ、幸いでございます。

これからも、
『ソフビ大好き!』に温かいお付き合いの程、よろしくお願いいたします。




【おまけ】

   

        I LOVE ELEKING! 

   

 





昭和48年3月、
犬山ラインパークで開催された大怪獣博にて。

向かって左が僕ですが、
巨大なエレキング像をバックに興奮気味です。
この日の夜、
海(なぜか湖ではありませんでした)から現れたエレキングに
追っかけられる夢をみた事を、いまだに憶えています。

それにしても、
エレキング像の全体が写っていないのが残念。 
           
     昭和63年9月、
 円谷プロの怪獣倉庫にて。

 目の部分にある角状のアンテナを外して、
 完全休暇中のエレキングさん。
 ピット星人からの指令が受けられませんから、
 暴れだす心配はありません(笑)。  
       平成元年8月、
 池袋サンシャインシティにて。

 記念すべき、第1回目のウルトラマンフェスティバル。
 アンテナもちゃんと装着して、
 今日は “お仕事モード”(笑) のエレキングさん。
 やっぱ、この方が凛々しくてカッコいいですね。   

            






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