真水稔生の『ソフビ大好き!』


第125回 「召しませ火の鳥」  2014.6

先月、
愛鳥週間に因んで
鳥の怪獣・怪人を特集しましたが、
その続きで、今回はラドンを取り上げる事にします。

“愛鳥週間に因んで” なのですから、
本来なら、“鳥の怪獣” というテーマ・括りは、
前回(5月)限りで終わらせるべきだったのでしょうが、
ラドンは、
モスラ、キングギドラ、アンギラスと並ぶ
昭和ゴジラシリーズのレギュラーとも言える国民的人気怪獣であるため、
商品化されたソフビ人形も種類が多く、
前回挙げた、
ヒドラ、テロチルス、ゲバコンドル、ギルガラスに加えて紹介すると、
文章の量も写真の数も多すぎて、
なんだか、まとまりがなくなってしまう気がして、
ラドンだけ、
今回にまわす事にした次第であります。

・・・え?
ラドンは、
原水爆実験が地殻に与えた影響で
突然変異してよみがえった古代の “翼竜” だから、“鳥の怪獣” じゃない?

まぁ、いいじゃありませんか、そんな細かい事は(笑)。

映画『空の大怪獣ラドン』の、
ラドンを目撃していながらも記憶喪失になっていた主人公(演ずるは佐原健二さん)が
文鳥の孵化を見て記憶を取り戻すシーンからも解るように、
ラドンを鳥のイメージで捉えるのは人間として自然な感覚です。

映画の鑑賞においても
ソフビ怪獣人形の鑑賞においても、
ラドンの存在を実感して空想の世界で夢見る上で重要なのは、
生物学的分類よりも、感受性。
翼竜であるラドンを “鳥の怪獣” として認識していても、僕は間違いだとは思いません。

どうしても設定を重視しなければならないのでしたら、
愛鳥週間に因まなければいいだけの話。
先月外して今月に持ってきたのは好都合、ってものです。
“鳥” に関係なくラドンのソフビを紹介する、って事にします(笑)。

そもそも、
先月いちばん最初に取り上げたヒドラだって、
厳密には、
“高原竜” という、アキラ少年の想念の生き物ですから、
“鳥の怪獣” ではないンですけどね(笑)。


まぁ、とにかく、
今回は、ラドンです。

まずは、これ。
ブルマァク製 スタンダードサイズ(全長約18センチ、横幅約23センチ)。 
   
  昭和40年代半ば、
つまり、第2次怪獣ブームの頃に発売されていた人形です。

全身に、青い塗装が施されていますが、
このように
メタリックな青と
メタリックでない青のものとが存在します。

どちらにせよ、
ラドンを青くしてしまうなんて、凄い発想だと思います。
なんで
こんな彩色にしようと思ったのでしょう?
“幸せの青い鳥” でも意識したのでしょうか・・・。
だとしたら、
やっぱ “鳥の怪獣” という解釈もラドンには有り、って事ですよね(笑)。

っていうか、
ラドンの元々のデザイン画は、
翼竜というよりは始祖鳥に近いイメージで描かれていますので、
映画の作り手側も、“翼竜か鳥類か” なんて事には
それほど厳密にはこだわっていなかった気がします。

映画のタイトルにもなっている “空の大怪獣”、
それこそがラドンの、
設定であり、驚異であり、存在意義。
映画を観た人が、
超音速で空を飛ぶラドンに驚き、夢見たならば、
それで成立。
先ほども述べましたとおり、
翼竜だろうが鳥類だろうが、たいした問題ではないと思うのです。

この人形は、
それを証明するのに打って付けのアイテムです。
なぜなら、
“青” などという奇抜な彩色を施されても、
ちゃんとラドンでいられる造形をしているから。 
     
  大きな翼、
好戦的な性格が感じられる顔の表情、
飛行しているようにも
仁王立ちして相手を威嚇しているようにも見える、その佇まい・・・、
それらは、
ラドンという怪獣の迫力を、力強く、かつ正確に伝えていてます。
それも、時代柄、
子供のオモチャとして愛嬌のあるデフォルメを施しながら、のそれですので、
原型師の技量の高さやセンスの良さが覗い知れようというもの。
素晴らしいです。
青以外にも、
たとえば緑とか黄色とか紫とか、
どんな素っ頓狂な色に塗り替えられても揺らがない、“凄味” があります。

軸がブレないその感覚は、
安定した人気でゴシラ映画のレギュラーの座に居座った、
ラドンの存在感そのもの。
  翼竜だの鳥類だの、
そんな次元で語る必要のない “空の大怪獣” というラドンの本質が、しっかりと表現された、実に優れたソフビだと思います。    


  こちらは、
同じくブルマァク製の、
ミニサイズ(全長約9センチ、横幅約7センチ)。 
肌色の人形は試作品です。
 
    こうして並べると、
親鳥と雛鳥、って感じです(笑)。




     
  ポピー製 キングザウルスシリーズ(全長約16センチ、横幅約14センチ)。
 
これは、
昭和50年代の商品です。
成形色に赤が用いられているのは、
『空の大怪獣ラドン』のラストで、阿蘇山の噴火に呑まれて焼死する際のイメージでしょうか・・・。
そのせいか、
顔の表情が “断末魔の叫び” をあげているようにも見え、
哀愁というか痛苦というか、
なんとも切ない雰囲気があり、
堂々と立っているブルマァクのラドン人形とは、同じポーズでも、また違った味わいがあります。
 




     
       バンダイ製 ゴジラシリーズ(全長約18センチ、横幅約21センチ)。 
     塗装がシルバーのものは
     その流用商品で、“結集!歴代怪獣BOX” というゴジラ怪獣のソフビセットの中の1体。
     
  平成のソフビですので、
リアルな造形をコンセプトに作られています。
彩色も、
青だの赤だのと勝手なアレンジはされず(笑)、実物に忠実。 昭和のオモチャには無い、“渋さ” がありますね。
     




  これは、
ミニソフビのセット(商品名:ゴジラ怪獣快進撃)の中の1体で、
飛行時の姿が再現されています。
カッコいいです。

バンダイ製で、全長約10センチの横幅約11センチ。 
                 


  そして、ラドンは、
その人気の高さゆえ、平成ゴジラシリーズにも登場しました。
ここからは、
平成ラドンのソフビを紹介します。

まずは、
平成5年公開の『ゴジラ vs メカゴジラ』に登場したラドン。

この作品におけるラドンは、
“空の大怪獣” であった昭和版ラドンとは異なり、
“翼竜” である事がはっきりと強調されて描かれていた気がしますが、
結果的には、
“鳥類” という解釈も有り、という印象を
昭和版ラドン以上のインパクトで残す事になります。
なぜなら、
一度ゴジラと戦って敗れた後、不死鳥の如くよみがえるから、であります。

不死鳥、
つまり “火の鳥” のイメージゆえ、
その姿は炎のように赤く、
ファイヤーラドン” と呼ばれていますが、
そんな、
不死鳥の如くよみがえった光り輝く火の鳥・ファイヤーラドンを、
翼竜だと言い切る方が、もはや不自然。
やっぱ、ラドンは、
翼竜でも鳥類でもない、“空の大怪獣” なのであります。いつの時代も。


     
  平成5年(つまり映画公開時)に発売されていたファイヤーラドン。
   バンダイ製 東宝怪獣シリーズ(全長約16センチ、横幅約32センチ)。 


     
                        これは平成8年に発売されたファイヤーラドン。
                      バンダイ製 ゴジラForever(全長約16センチ、横幅約32センチ)。

                      先述の、映画公開時に発売されていたものの流用ですが、
                      このように、
                      彩色が異なるのと、翼の内側に血管が描かれているのが特徴です。 


   
 ガチャポンのソフビもありました。
 バンダイ製 ゴジラソフビキット(全長約8センチ、横幅約11センチ)。
 


   平成10年には、
 やや小さくなったファイヤーラドン人形が発売されました。
 バンダイ製 ゴシラアイランド怪獣シリーズ(全長約14センチ、横幅約14センチ)。 
     


   これは、平成14年発売。
 バンダイ製 ムービーモンスターシリーズ(全長約14センチ、横幅約15センチ)。  
     


   ・・・で、
 上の人形の色替え商品がこちら。   
     
   平成17年に発売された、
 セット売り(商品名:ゴジラ50周年メモリアルBOX)の中の1体で、
 その体色からも判るように、
 ファイヤーラドンではなく、ファイヤーラドンになる前のノーマルなラドンの人形です。
 バンダイ製で、全長約14センチの横幅約15センチ。

 映画公開から12年経って、
 初めて、ノーマルな平成ラドンがソフビ化されたわけで、
 怪獣ファンとしては嬉しかったのですが、
 ラドンがファイヤーラドンになった劇中とは逆に、
 ソフビの方は、ファイヤーラドンがラドンに戻った、というのが面白いですね。


  そして、
その平成17年には、『ゴジラ FINAL WARS」が公開され、
そこにも、
当然の事ながらラドンは登場しました。 

   
   バンダイ製 ムービーモンスターシリーズ(全長約15センチ、横幅約26センチ)。

 『ゴジラ vs メカゴジラ』に登場したラドン(ファイヤーラドンになるラドン)とは、
 形状も異なるまったくの別怪獣なのですが、
 このソフビは、
 ファイヤーラドンを彷彿とさせる彩色になっていて、まぎらわしいです(笑)。
 赤が強くて、明る過ぎますね、全体的に。 


   
   バンダイ製 ムービーモンスターシリーズ・劇場限定版(全長約15センチ、横幅約26センチ)。

 そのまぎらわしさを帳消しにして余りある、暗いトーンの彩色。
 ファイヤーラドンと見紛う事はありませんが、これでは暗過ぎ(笑)。
 劇中の、夜のニューヨークを襲撃したシーンでも、こんなに暗い色には見えなかったような・・・。


   
   平成20年に、この彩色でリニューアル。 
 バンダイ製 ムービーモンスターシリーズSTANDARD(全長約15センチ、横幅約26センチ)。

 間をとって、
 明る過ぎず、暗過ぎず、ちょうどいいトーンになりました(笑)。



   
   こちらは食玩。
 バンダイ製 ミニバトルG(全長約10センチ、横幅約14センチ)。
 蓄光タイプの人形は、HMV限定販売のもの。

 赤かったり光ったり・・・、
 やっぱりファイヤーラドンみたい(笑)。



   
   これは、
 バンダイクリエイション(バンダイの米国部門)の商品で、
 全長約17センチ、横幅約27センチ。

 もう、完全に、
 ファイヤーラドンとゴッチャにして間違えちゃった、と思われる彩色。
 
 ・・・まぁ、でも、
 ラドンは、誕生してから50年以上もの間、ずっと愛され続けている怪獣ですから、
 ファイヤーラドンかどうかに関係なく、
 火の鳥(不死鳥)のイメージが貼りついてしまっていても、おかしくないですからね。

 今や怪獣ファンは、
 “火の鳥” と聞くと、
 バレエ音楽や手塚治虫先生の漫画と同じレベルで、
 当たり前のようにラドンを思い浮かべるのかもしれません。



ただ、
僕はといいますと、
“火の鳥” という言葉からは、
ラドンやバレエ音楽や手塚治虫先生の漫画よりも
こちらを先に思い出してしまいます。
             ジャーン! 焼鳥っ!

 火と鳥が揃えば、やっぱこれしかないでしょう(笑)。
 

     というわけで、今回も焼鳥屋・琴三にやってきました!

 どんだけ好きやねん!?

って感じですが、
今日は、仕事関係の飲み会なのです。
事務所の後輩のバイト先でもあった事と、僕が「美味い!」「美味い!」と宣伝した事で、
ここが会場になりました(笑)。 

  やっぱり、まずコレ。
肝刺し。

“美しい味” と書いて
“うまい” ・ “おいしい” と読む事が、納得出来ます。
ホント、最高です。
ありがとう、大将! ありがとう、鶏!


  マネージャーの榎本さんです。

普段は僕の事を

 「真水さん」

と呼びますが、
この笑顔で
ハイボールの大ジョッキを次々と空けて、
いつしかそれは

  「まみっつぁん」

へと変わっていきます(笑)。

 
 
 
そんな榎本さんのおススメは、みそホルモン。
みその味と香りが
ホルモンの食感を絶妙に引き立てます。



 
 
カメラマンのスーさん。 いい感じです(笑)。

スーさんは、
僕の草野球チーム・マミーズのメンバーでもあります。
僕よりも年上ですが、
打つのも投げるのも走るのも、
僕の数倍 “切れ” があります。 凄い。
 
 
スーさんのお気に入りは、ハツモト。
ハツ(心臓)と肝の
繋ぎ目にあたる部分ですね。
程よい歯応えが、クセになります。
ってか、スーさん、焼鳥通だなぁ・・・。



 





尻フェチだから、
というわけではありませんが、
僕は、ぼんじりが大好き。
このプリプリの食感と、
“鶏肉のトロ” と呼ばれるほどの、とろけるような口当たりには、
思わず、

 「いいケツしやがって!」

と言ってしまいます(笑)。




              ♪



宴もたけなわではございますが、そろそろお時間。
みんなは、
〆(しめ)にラーメンやお茶漬けを注文しましたが、
僕の〆(しめ)は、
本日二皿目の、肝刺し(笑)。 
もう愛しちゃってます、心から。 
  それにしても、
この見事な色艶・・・、
なんだか、ラドンの肉を食べてる気がしてきました(笑)。
そう思うと、
“永遠の命” とまではいかなくても、
「明日からも頑張ろう!」っていう元気が、かなりの強度で湧いてきます。

楽しい事よりも苦しい事の方が多い人生ですが、
これからも、
精一杯、飛び回ってやりますよ、僕は。
嫌な事は、
その風力で吹き飛ばしていきます。
ラドンが、
飛行するだけで建物を破壊していくように・・・。

どうです?
ラドンに思いを馳せながら、いっしょに一杯やりませんか?
僕、まだ帰りませんから(笑)。


炭火焼鳥 琴三

名古屋市中村区名駅5丁目16の17 花車ビル南館1階南側

電話 (052)561−3323

地下鉄桜通線 国際センター駅3番出口より徒歩3分 




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