真水稔生の『ソフビ大好き!』


第105回 「夢物語 〜幻のウルトラマン先生〜」  2012.10

35年前、僕が入学した中学校は新設校で、
僕らが初めての入学生だったのですが、
驚く事に、
その学校には野球部がありませんでした。

運動場が狭い、
という事もありましたが、
陸上部もサッカー部もテニス部もハンドボール部も
バレーボール部もバスケットボール部もちゃんとありましたので、
野球部だけが無い最大の理由は、
野球のルールを知っている先生がいない、という事によるものでした。

愕然としましたね、僕は。

なにもカバティとかセパタクローとか、
馴染みの薄い、特別変わったスポーツがしたいと言っているわけではありません。
野球です。
ごくごく一般的なスポーツ・野球がしたい、と言っているのです。
どこの中学校にもある、野球部に入りたい、と言っているのです。
それが出来ないのです。
信じられませんでした。

いくら新設校で不備な点もあるとは言え、
野球を知ってる先生がいないから野球部が無い、なんて
そんなフザけた話があるか、と思いました。

なんて不平等で、
なんて常識ハズレな学校か、と
腹が立ちました。

しかも、
有志が集まって作ろうとした野球同好会も、
情報を聞きつけた先生たちに、一度も練習しないうちから潰され、
何が何でも野球はやらせてもらえないンだ、と
とてもショックを受けました。

今思えば、
何か事故でもあった時に
学校として責任が負えないから、だったンでしょうけど、
その時の僕には、
先生たちに、
権力を振りかざされて一方的に自由を奪われたようにしか感じられず、
絶望に近い感情を覚えました。

野球を知らない、なんて、
先生たちは実に偏屈でダサい大人に思えたし、
そんな連中が自分たちの都合で一方的に押し付けてくる、

 だから野球部を作らない、同好会も認めない、

などという勝手な取り決めに
ただ黙って従うしか道が無い事を思い知らされ、
もう、腹が立つのも通り越し、
アホらしくなって、体中の力が抜けてしまったのです。


よって、覇気無く通学する毎日でしたが、
入学して1ヶ月くらい経った頃、
お前は背が高いのだから、と
ひとりの先生が「何かスポーツをやれ」と勧めてきました。

その先生は、
僕の大嫌いな先生でした。

なぜ大嫌いだったか、というと、それは、暴力教師だからです。
やれ、廊下を走っただの、
やれ、下校時間を過ぎても校内に残っていただの、と
しょっちゅう
難癖をつけて生徒の誰かを殴っては、

  「どうだ、俺、カッコいいだろォ?」

とでも言いた気に、
野蛮なドヤ顔で威張り散らしている人で、
まるで、
“暴力を振るう=男らしい” とでも思っているようでした。

その先生が
なぜ僕にスポーツを勧めてきたか、というと、
自分が顧問を務めるサッカー部へ入部させるためでした。
サッカーがやりたくても、
その先生がイヤだ、という理由で入部しない子が何人かいましたから、
おそらく部員不足だったのでしょう。

  「サッカー部に来たら、俺が鍛えてやる」

と言われましたが、
僕がやりたいのはサッカーでなくて野球なのだし、
大嫌いな先生だし、殴られるのイヤだし、
1秒で断りました。

すると、別の日に、
今度はハンドボール部の顧問の先生から、
同じように、
背が高い事を理由に、どこか運動部に入るよう、勧められました。

ハンドボール部も、
やはり部員不足、しかもサッカー部以上に人気が無かったようで、
結構 “せっぱつまった” 感をあらわにして、

  「ハンドボールなんか、どうだ?」

と誘ってきました。

でも、これも断りました。
野球部が無いから
あきらめて何かほかのスポーツを・・・、という気持ちには、
どうしてもなれなかったのです。

ところが、
このハンドボール部の先生は異常にしつこく、
断っても断っても、
何度も入部を勧めてきたので、鬱陶しくてたまりませんでした。

野球を知らない、だから野球部は作らない、
自分の部が人数不足、ならばしつこく勧誘、
そんな、
どこまでいっても自分たちの都合しかない先生たちに、ほとほと嫌気が差しました。

だいたい、
背が高いンだからスポーツやれ、なんて理屈もおかしいし、

 このオッサンたちは馬鹿じゃないか、

と思いました。
まともに相手にしてられないので、
なるべく目を合わさないよう避けて、話しかけられるのを防ぐようにもなりました。

だけど、
それでもハンドボール部の先生は、
放課後や朝礼の際などに
わざわざ僕のところへやってきて、

  「何も部活動してないなんて、よっぽど勉強が好きなんだな」

とか、

  「スポーツもやらんと図体ばっかりデカくて、どうするだぁ?」

とか、
ネチネチと嫌味まじりに勧誘してくるので、
ついイラッとして、
或る時、

  「だから、
   ハンドボールなんかやりたくない、って言っとるがぁ!
   僕がやりたいのは野球!
   なんで野球部が無いンだてェ!
   おかしいわ、この学校は!」

と声を荒らげて、文句を言ってしまいました。

すると、
少し間が空いた後、そのハンドボール部の先生は、

  「スポーツは何でも同じだ!」 

などと、
恐ろしく素っ頓狂な事を言い出しました。

何でも同じじゃないから、自分たちが苦手な野球を排除したくせに、
よくもまぁ、
そんな身勝手な事をヌケヌケと偉そうに言えるものです。
呆れてしまいました。

そこで僕は、
思いっきり馬鹿にして、

  「はぁ?」

と、先生に返しました。

これがいけませんでした。
近くでこのやりとりを見ていたサッカー部の先生(先述の暴力教師)が、

  「教師に向かって、その態度はなんだぁーーーっ!」

と怒鳴りながら向かってきて、
僕は思いっきりビンタされました。
よろめいたところを髪を引っ張られて起こされ、更に突き飛ばされました。

そして正座させられ、両先生からお説教。
その間、サッカー部の先生からは更に2回蹴られました。
まるでリンチでした。

まぁ、
先生たちからすれば、
ついこの間までランドセル背負ってたようなガキに生意気な態度をされて、
ひどく頭に来たンでしょうけど、
怒りの感情をただ狂ったようにぶつけられるだけで、
そこには、指導とか教育とかいったものは、欠片もありませんでした。

結局、
強制的にハンドボール部に入れられ、
あまりに理不尽で非人道的で、意味が解りませんでしたが、
僕のにらんだ通り、
先生たちが人格的にきわめて低級である事の確認が出来ました。
そして、
野球部が無い事、
野球同好会を潰された事、
心の中にあった、
その “わだかまり” が、
はっきりとした “恨み” に変わったのです。

野球をやらせてもらえない不自由さ、
尊敬出来ないどころか軽蔑に値する先生たち・・・、
僕にとって中学校は、
とても居心地の悪い場所となりました。

別にグレたり不登校になったりはしませんでしたが、
ハンドボール部は
すぐに辞めて(その際、また一悶着あった事は言うまでもありません)、
3年間、
先生たちを恨み続け、馬鹿にし、完全にフテくされて過ごしました。

だけど、僕なんかは、
いくら野球が好きでも
たいして上手くもないのだから、
そうやってフテくされてりゃあいいですけれど、
同級生の中には
ものすごく野球が上手いヤツが何人もいたので、
中学校に野球部さえ、ちゃんとあれば、
その子たちは、
後に、甲子園のスター、あるいはプロ野球選手になったかもしれず、
フテくされて済む問題ではないと思うのです。
野球を知らない、なんていう先生たちの放逸な都合で
生徒の未来の可能性を断ったのは、
絶対に教育上間違った行為だと思うンですけどねぇ・・・。


ちなみにその中学校、
極めておとなしい生徒ぞろいの静かな学校でしたが、
僕らが卒業してすぐに、
校内暴力で荒れる中学校の筆頭として、
連日、地元のテレビや新聞を賑わわせるようになりました。
僕が大嫌いで軽蔑していた先生たちは、
生徒たちの “お礼参り” が怖くて
毎年卒業式には欠席するのが常例となった、とも聞きました。

校内暴力なんて
決して許される事ではありませんが、
元々、先にとんでもない暴力教師もいたのだし、
僕は母校のそんな情けないニュースを見聞きしても、

 あの学校の、あの先生たちじゃあ、そりゃそうなるわな、

と、何の驚きも感じませんでした。

昨今、
モンスターペアレントが問題になっていますが、
モンスターティーチャー、ってのも存在すると思うのです。
先生に絶望し、フテくされて中学校時代を過ごした僕の、哀しい持論です。

そのモンスターティーチャーの被害を受けて
ひねくれた心で学生生活を送った生徒が大人になり、
やがて親になると、
学校の先生なんて信用出来るか!? って思いが
我が子への愛情に歪んだエネルギーを加えてしまい、
モンスターペアレントと化してしまうのではないでしょうか?
そんな気がします。

・・・あ、僕は違いますよ(笑)。


そんなわけで、
かったるい無意味な時間が只々流れた僕の中学生時代、
ちょうど3年生の時に、
テレビドラマの『3年B組金八先生』が始まり、

 こんな立派な先生が本当にいてくれたらなぁ・・・、

なんて、
恨めしい感情を抱きながら番組を観ていたのですが、
翌年、高校に上がると、
なんと、
その『3年B組金八先生』と
大好きな特撮ヒーロー番組が合体したような番組が登場したので、驚きました。
その番組の名は、『ウルトラマン80』。

特撮ファンの方には今さら説明する必要もありませんが、
ウルトラマン80に変身する矢的猛(演ずるは長谷川初範さん)は、中学校の教師。
同時に地球防衛軍UGMの隊員でもあり、
昼間は教師として働き、
放課後と日曜日にUGM隊員の任務に就く、というものでした。

よって、
毎回、お話の主たる舞台は中学校。
先生たちに脱力感を覚えながら中学生時代を過ごした僕にとって、
この、
中学校の先生がウルトラマン、という設定は、
衝撃的で、夢があって、
ものすごく興味を惹かれました。



ただ、
そうやって期待に胸を弾ませたものの、
『3年B組金八先生』の人気に安易に便乗しただけのような気もして、
学園ドラマと怪獣のお話を
たった30分で消化しきれるのか、という不安も、気持ちの中にはありました。
以前、
第33回「実写ドラマ大好き!」の中でも述べましたが、
当時、円谷プロは『ザ★ウルトラマン』というアニメ作品を世に放っており、
僕はそれが不満で不満で仕方なかったので、
せっかく復活した、
実写・特撮によるウルトラシリーズの新作が
中途半端な安っぽい内容では困る、という強い思いがあったのです。

でも、
実際に番組が始まって見てみると、
人間の心の中にある憎しみや悲しみが
マイナスエネルギーとなって怪獣を生み出す、という設定が巧く活かされ、
生徒たちが抱える諸問題や、先生と生徒の心のふれあいが、
怪獣の物語と自然に絡み合い、
ドラマとしてバランス良くまとまっていて、安心・・・、いやそれ以上に感服しました。

『ウルトラマン80』は、面白かったのです。

失恋した男子生徒の嫉妬心が生み出した怪獣が
硫酸の涙を撒き散らすお話や、
美少女転校生(正体は侵略宇宙人)と
或る真面目な男子生徒との恋を描いたお話など、
なかなかの佳作揃いで、
さすが円谷プロだな、って思いました。

それに、
なんといっても、矢的先生が素敵でした。
爽やかで優しくて潔くて、
決して威張らず、
暴力なんかもちろん振るわず、
常に誠心誠意、生徒と向き合って、
愛を伝え、勇気を教えてくれる、最高に素晴らしい先生でした。

なので、
金八先生同様、いや、金八先生以上に、

 こんな立派な先生が本当にいてくれたらなぁ・・・、

という思いが、強く湧いてきました。
そして、今度は、恨めしい感情だけでやり過ごすのではなく、
心を洗って意識を改めようと思いました。
退屈でつまらなかった現実の中学生時代の思い出を、
その『ウルトラマン80』の世界に浸る事で、明るい印象に塗り替えようとしたのです。

自分の入った中学校は
運悪く面白くない場所だったけど、
本来、中学校というところは、
充実した楽しい時間を過ごせる場所である、と自分に言い聞かせたかったのでしょう。
信頼し尊敬出来る先生の存在を、信じたかったのでしょう。

また、
『3年B組金八先生』を観ていた時は自分も同じ中学3年生だったので、
ドラマの世界に感情移入するものの、
常に “こんな現実は無い” という意識がしっかりとありましたが、
『ウルトラマン80』の時は
たぶんもう卒業していたからでしょうか、
その架空の世界に素直に酔う事が出来、そこに自分を託す事も可能だったように思います。

あるいは、
フテくされて中学生時代を過ごした自分を恥じる、もうひとりの自分がいて、
なんとか心を荒ませないよう、
大好きな “ウルトラマン” の力を借りて、必死にもがいていたのかもしれません。
自分が通った中学校を、
矢的先生のいるドラマの中の中学校と頭の中ですり替え、
いろいろ妄想していました。

例えば、
 
 野球部が無い事による僕の不満や恨みが
 マイナスエネルギーとなって怪獣を生み出したら・・・、
 バットを振り回しながら暴れ、
 校舎を叩き壊す(特に職員室を徹底的に(笑))その怪獣を、
 80はどうやって退治するだろう?
 退屈な学校生活をフテくされて過ごす僕に、
 矢的先生はどんなふうに接して、どんな言葉をかけてくれるだろう・・・?

そんな事を
よく考えていました。

所詮テレビドラマだから、虚構の世界の夢物語ではありますが、
あの頃の僕にとって、
『ウルトラマン80』は、ちょっとした心の拠り所だったのです。






というわけで、
今回紹介するコレクションは、『ウルトラマン80』の関連ソフビ。

放映当時、
ブルマァクはすでに倒産しておりましたので、
子供たちのリアルタイムソフビは、ポピーの足型シリーズ、という事になります。

高校生だった僕には、
当然無縁のものでしたが、
コレクターになってからそれらのソフビの存在を知り、夢中で買いまくりました(笑)。

でも、
放映終了からまだ7、8年しか経っていない頃でしたので、
オモチャ屋さんの倉庫に残っていたものもあったし、
専門店(いわゆるアンティークTOYショップ)でも
それほど高価な値段にはなっておらず、
マルサンやブルマァクのソフビに対するスタンスに比べると、
かなり気楽に、楽しみながら集める事が出来ました。


それでは、まず、
主人公・ウルトラマン80の人形から、紹介しましょう。



    全長約31センチ。

凛として、美しくたくましい容貌。
お気に入りの1体です。


   










全長約21センチ。

肘と膝が、
フレックスストローの蛇腹部分のようになっていて、
折り曲げ方向自在です。


    全長約18センチ。

このサイズが、
新時代のソフビのスタンダードサイズとなりました。 


    全長約13センチ。

ミニサイズ人形ながら、
“一所懸命” をモットーとする矢的先生の、
強固な意志を思い起こさせる、力強い雰囲気が素敵です。




続きまして、敵役の怪獣たち。
第1話から8話までの登場怪獣が商品化されていました。

以前、
第15回「足型の足跡」の中でも述べましたが、
当時は、
マルサン・ブルマァクのソフビのように
デフォルメを施して愛嬌のある人形にすべきか、
時代のニーズに合わせて
実物の怪獣の姿形に忠実な人形にすべきか、
ポピー(バンダイ)は
新時代のソフビ怪獣人形の造形について、まだ模索中であったため、
この足型シリーズには、
可愛らしい造形のもの、
現在でも充分通用しそうなくらいリアルでカッコいい造形のもの、
あるいは、
どっちつかずの中途半端な造形のものが
いろいろ入り交じっているのですが、
80の怪獣は、
当然ながらマルサンやブルマァクでは作られておりませんので、
過去の呪縛に一切影響されず、
迷う事無くリアルな造形に仕上がって、どれもカッコいい人形になっています。

     
 クレッセント 全長約15センチ。
 
 ギコギラー 全長約15センチ。

     
 ホー 全長約17センチ。
 
 ザンドリアス 全長約15センチ。

   
 メカギラス 全長約16センチ。
 
 アブドラールス 全長約16センチ。

     
 ノイズラー 全長約14センチ。
 
 タブラ 全長約15センチ。




そして、
UGMの超兵器もソフビ化されていました。
ソフビコレクターとしては、嬉しいアイテムですね。

                   
 スペースマミー 全長約14センチ。 

       
 スカイハイヤー 全長約9センチ。 

 シルバーガル 全長約9センチ。


   







これは、
海賊版のウルトラマン80人形。
全長約20センチ。

以前、
第46回「いかにも名古屋」の中でも紹介しましたが、
そのカラーリングの妙から、
“夜の80” と勝手に名づけた、お気に入りソフビです。

メカギラス戦やアブドラールス戦など、
夜の闇の中に
80と怪獣の電飾部分が栄える、美しい映像が思い出されます。


 
                 




今度は、バンダイの商品。


       ウルトラマン80 ウルトラヒーローシリーズ、全長約17センチ。


80がこのシリーズへラインナップ入りを果たしたのは、
僕がソフビ怪獣人形のコレクションを始めた昭和63年。
以降、今日に至るまで、
何度かリニューアルされています。

造形が変わったのは1回ですが、
発売時期によって、大きさが違ったり、目の色が違ったり・・・。
チェックしながら集めると、面白いです。

           



   





これらは、
セット売りのミニサイズ人形で、
全長約13センチ。

先に紹介した
ウルトラヒーローシリーズ同様、
発売時期によって、
細かい違いがあります。

     
 
     

 

      カラータイマーの色が違ったり、      目の色が違ったり、

   
 踵の高さが違ったり、
 
         背中の塗装が違ったり、

    中には、
明らかに型が異なるものもあります。


         
      この3体は、食玩人形。
  向かって
  左側の写真は、
  平成のはじめ頃に発売されていたもの(全長約11センチ)。
  右側の写真の2体は、
  ここ4〜5年の間に発売されたもの(全長約11センチ)で、
  例によって、目の色が異なります。
  微妙ですけど(笑)。





    最終回間近に登場した、
ウルトラの国の王女・ユリアン

ガルタン大王が
80の命を狙っている事を知らせるため
地球へやってきたのですが、
80とコンビで
怪獣と戦ったりもしました。

後列が
ウルトラヒーローシリーズで、
全長約17センチ、
前列2体は、
セット売りのミニサイズ人形で、
全長約12センチ。

                     
                     ユリアンは、
 王女という高貴な身分でありながら、
 ウルトラ族・宇宙警備隊の中では下っ端隊員である80のために
 自らがわざわざ地球まで飛んできたわけですから、
 たぶん、80の事が好き(男性として)なんだと思います。
 よって80は、
 将来、逆玉に乗って、
 一気に、
 ゾフィーやウルトラの父よりも偉くなるかもしれませんね(笑)。




怪獣は、
ウルトラ怪獣シリーズにおいて、
ギコギラー、サラマンドラ、ギマイラ、バルタン星人(5代目)が、
食玩において、
レッドキング(3代目)が、それぞれ商品化されています。
そのうち、
ギコギラーとサラマンドラとギマイラは、
80同様、何度かリニューアル発売されていますので、
以下のように複数のバージョンが存在します。

   












ギコギラー
 全長約17センチ。
 
   
 


         
     サラマンドラ 全長約17センチ。  



   
   
     ギマイラ 全長約15センチ。  


   











バルタン星人(5代目)
 全長約17センチ。

 


      レッドキング(3代目) 全長約9センチ。

第71回「極私的ソフビ怪獣人形史・その2」の中でも
紹介しましたが、
既存のレッドキング人形の色を塗り替えて、
『ウルトラマン80』に登場した3代目の容姿に仕立てた人形です。



さて、
思春期の僕に
爽やかなひとときを提供してくれていた『ウルトラマン80』ですが、
その効用は、長くは続きませんでした。

当時は
部活(高校にはちゃんと野球部がありました(笑))の都合で
毎週視聴する事が出来なかったのですが、
知らない間に、
中学校を舞台にしたドラマではなくなってしまっていたのです。
 
 あれ? 学校の話はどうなったのだろう・・・?

と思いながら、
段々と興味が薄れていってしまいました。

気づけば番組は最終回。
新時代のウルトラマン・“ウルトラマン先生” は、
まるで幻だったかのように、僕の前から消えてしまったのです。

学校ロケ地確保という物理的制約や
TBS内の人事異動による番組プロデューサーの変更などにより、
主人公が中学校の先生、という設定は
第12話をもって封印されてしまった事を、
大人になってから知りましたが、
今見ても、
初期の作品群は
良質なドラマとしてそこそこの完成度を維持していると思うので、
せっかくの斬新な設定を
最後まで活かし切れなかったのが残念でなりません。

それに、
ロケする場所が無いから、とか、
プロデューサーが変わったから、とか、
そんな理由で
視聴者を無視して路線変更するなんて、
運動場が狭いから、とか
野球を知っている先生がいないから、とか、
っていう理由で
生徒を無視して野球部を作らなかった僕の中学校に似ている気がして、
なんだか運命的に哀しいです。

“ウルトラマン先生” は、やはり、夢物語なのでしょうか・・・。




そういえば、
野球部が無くて帰宅部に甘んじていたおかげで、
中学生時代は、
当時夕方にやっていた、いろんなテレビドラマの再放送を見る事が出来ました。
前回触れた『美人はいかが?』もその中のひとつだし、
同じ30分ものなら、

『鉄平と順子』、『女房タブー集』、
『おくさまは18歳』、『なんたって18歳!』、『ママはライバル』、
『マドモゼル通り』、『せなかあわせ』など、

1時間ものとなると、

『パパと呼ばないで』、『雑居時代』、『水もれ甲介』、
『進め!青春』、『炎の青春』、『高校教師』、
『飛び出せ!青春』、『われら青春!』、『おれは男だ!』、『おこれ!男だ』、
『俺たちの旅』、『俺たちの勲章』、
『太陽にほえろ!』、『傷だらけの天使』など、

いろんなタイプのテレビドラマが、
毎日、再放送されていました。
小学生時代に本放送で観た事があったものもあったし、
初めて観るものもありましたが、
元々テレビっ子だった事と多感な時期だった事が重なり、
強い感情移入と
勉強では絶対発揮出来ない集中力(笑)をもって、
しっかり見入っていました。
いろんな俳優の顔と名前を覚え、強い憧れを抱いたのも、その時です。
それが、
現在の生活に少なからず影響していると思いますので、
中学校にちゃんと野球部があったら・・・、
なんて考えると、
皮肉な、と言うか、不思議な、と言うか、
そんな巡り合わせの面白さを感じたりもします。


・・・でも、やっぱ、
中学校に野球部が無い、なんておかしいよォ〜。
間違っとる!(怒)





【追記】

ちなみに、
今から5年前、『ウルトラマンメビウス』に80が登場し、
大人になった当時の教え子たちと矢的先生が再会するお話が描かれました。
いいお話だったし、
ずっと放置されていた、
“矢的先生の学校の話はどうなった?” という問題が解決したのも嬉しかったけど、
大人になった教え子を演じる役者たちが
全員当時の子役たちではなかったので、今ひとつ、心から感動は出来ませんでした。
しかも、
最後の、『仰げば尊し』を合唱するシーンで、
僕は、その教え子たちの中に
『踊る!さんま御殿!!』の再現VTRでよく見かける役者(佐藤祐一さん)を
見つけてしまったので、

  「お前、絶対、あン時の矢的先生の教え子ちゃうやろ!」

と思わずテレビ画面に叫んで、
気持ちが思いっきり醒めてしまいました(笑)。


・・・“ウルトラマン先生” は、やはり、夢物語でした。




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