真水稔生の『ソフビ大好き!』


第225回「カステラ風・・・」 2022.10

先日、コンビニでアイスのコーナー(冷蔵庫)を覗いたら、
“カステラ風アイスバー” と大きな文字で書かれた、見慣れぬパッケージが目に入り、

 ・・・ん? 新商品かな?

と気を引かれたので、買ってみました。

そのコンビニの駐車場で早速封を破り一口食べたら、
これが、あなた、
もう、美味しいったらありゃしない。
“カステラ風” どころか、しっかりカステラ。
感動してしまいました。

以前、

 “ガリガリ君” のりんご味や梨味は
 本当にりんごや梨の味がするので感動する・・・、

って述べた事がありましたが(第79回「健康でいるために」参照)、
それと同じ衝撃でしたので、
パッケージを改めて見直してみたら、
この “カステラ風アイスバー” も、やっぱりメーカーは赤城乳業でした。

いやぁ~、赤城乳業のアイスは、どれも、本当に美味しいですねぇ。素晴らしい!




しかも、これ、
アイスの大きさを、カステラ一切れ分のサイズにしてあるし、
中にスポンジケーキを使って、
端っこの茶色い部分にはザラメまで入っているという “芸の細かさ”。
味だけでなく、見た目や食感にもこだわってるンですよね。
さすが。
あまりに気に入ったので、
食べ終わった後、再度コンビニ店内に戻り、もう1個買って食べましたし、
たぶん、今後しばらく、毎日買って食べると思います。
       ハマりました。









・・・って話を、
酒の席で2人の友人にしたら、

 「“ガツン、とみかん” が俺の中では最強だけどな 」

 「赤城乳業ではないけど、やっぱ、井村屋の “あずきバー” が定番でしょう 」

などと、
僕の “カステラ風アイスバー” 推しに対抗してきた(笑)ので、
そこから、アイス談義が始まり、
程なく、それは、
子供の頃に好きだったアイスの言い合い合戦、と化しました。

ナッチョコ、ジャムンチョ、宝石箱、うまか棒、
チューペット、アカキュラー、クロキュラー、BOB、
あと、
名前は知らないけど、
コンドームみたいなゴムの中にバニラアイスが充填されてて、
先端の突起部分を切ってそこから吸い出し食べるヤツとか、
メロンの形をした容器に入った、
アイスクリームだかシャーベットだか、なんかよくわからない食感のヤツとか、
ソーダキャンディーに棒が2本刺さってて、真ん中で割って1本ずつ食べるヤツとか・・・、
いろんなアイスを思い出し合いましたが、
3人とも同世代ゆえ、

 それ、知らない、

なんて事がまったく無く、

 「おぉ、あった、あった、懐かしいなぁ・・・」

 「あぁ、それ、めっちゃ好きだった~」

といった具合に、大いに盛り上がりました。

昭和歌謡やソフビ怪獣人形などの “懐古趣味” を愛し、
子供の頃の小さな思い出や細かい記憶にこだわるこの手の話が真骨頂(笑)である僕はもちろんの事、
その友人2人も、活き活きとして楽しそうでしたので、とても嬉しかったです。

傍から見たら、
ジジィ3人が夢中でアイスについて語り合ってる様は、ちょっと気持ち悪かったかもしれませんが(苦笑)、
そんな事はお構いなしに、
勢いはアイスだけにとどまらず、子供の頃に好きだったお菓子全般の思い出話にまで発展。

 「“しゃり弁太郎” をもう一度食べたいな」

とか、

 「“はりはり仮面” の “はりはりシール”、カバンや筆箱に貼ってたな」

とか、

 「“ノースキャロライナ” を食べて、虫歯治療の詰め物が取れたな」

とか、

 「“ベビースターラーメン” は、最初は “ベビーラーメン” って名称だったな」

とか・・・、
大手メーカーのお菓子から駄菓子に至るまで、
いろんなお菓子に関する思い出が飛び出して、懐かしさに浸り合いました。

なかでも、

 “チョコベビー” や “ジューC” を食べ終わったら、
    空になったそのプラスチック製の容器に水を入れて飲んでいた・・・、

という経験が、
3人に共通してあったのには笑えましたね。愛すべき同世代(笑)。


でも、
共通でない、食い違う話もひとつありまして・・・。

ってか、まぁ、
2人の友人のうちの1人が間違えて記憶していただけの事なのですが、
味覚糖の “純露” のテレビCMを、

 「ジャネット八田がやっていた」

と言ったので、

 「あれはジャネット八田さんじゃなくてビーバーさんだよ」

と僕が訂正してあげたのです。

“純露(“じゅんつゆ” と読みます)” は、
現在でも販売されている、べっこう飴と紅茶飴の詰め合わせ菓子ですが、
確か、僕が小学1年の時(昭和46年)に発売が開始され、
その頃は、
現在のような袋入りではなく、
横長のシートに3列で飴が並んでいて、それを一個ずつ押し出して食べる仕様になっていました。
上の列と下の列がべっこう飴で、真ん中の列が紅茶飴だったのですが、
べっこう飴よりも紅茶飴の方が圧倒的に人気が高く、
みんな紅茶飴ばかりを食べるので、
真ん中の1列だけがなくなっている食べかけシートを、やたらと見かけた記憶があります。

・・・で、
その新発売となって間もない頃の “純露” のテレビCMに出演されていたのが、
ビーバーさんだったのですが、
友人は、それをジャネット八田さんと記憶していたわけです。

ただ、
訂正はしてあげたものの、
まったく理解出来ない間違いでもないンですよね、これ。
というのも、
70年代に活躍されたそのお二人は、
モデルから女優に転身、という共通点があったし、
面長でエキゾチックな美しいお顔も、似ているっちゃあ似ているような気もしますので、

 間違えて記憶してても、まぁ、仕方ないかな・・・、

って思うのです。
なんたって、半世紀も昔の事ですからね。
もう1人の別の友人の方は「そのテレビCM自体、まったく憶えていない」って言ってたくらいですし・・・。

・・・ってか、
そんな、まったく憶えていない人もいる半世紀も昔のテレビCMに関する、他人の間違った記憶を
正しく訂正出来るなんて、
子供の頃のテレビの思い出に対する僕の執着は、やっぱ、“異常” なンでしょうか・・・?(苦笑)



そういえば、
半世紀も経ってから、誠にもって “今さら” ではありますが、
ビーバーさん、って、
なんで “ビーバー” って芸名にしたンですかね?
アメリカ人と日本人とのハーフであるジャネット八田さんと違って、
ビーバーさんは純日本人ですし、
顔がビーバー(動物の)に似てる、ってわけでもないでしょうし(ってか、全然似ていません)・・・。


ビーバーに似ているのは、こちらですね。
 

隕石怪獣ザゴラス

こちらも半世紀前の話、
『帰ってきたウルトラマン』第25話「ふるさと地球を去る」に
登場した怪獣ですが、
2本の前歯や平べったい形をした尻尾が、
ビーバーを連想させるのです。
      けど、ビーバーの怪獣、ではないンですよね、こいつ。

 大昔にザゴラス星から地球に落ちてきた隕石に付着していた微生物が、
 その隕石の放射能の影響で突然変異したもの、

という設定なのです。 

ビーバーに似ていないビーバーさんがビーバーで、
ビーバーに似ているザゴラスがビーバーじゃない・・・、とは、なんとも皮肉な話です(笑)。


・・・と、くだらない話はさておき、
この「ふるさと地球を去る」というエピソード、

  その大昔に落ちてきた隕石の上に、現在では村が出来ていて、
  地球に接近してきたザゴラス星に引力で隕石が引き寄せられたため、
  その村が、隕石と一緒に村ごと丸々宇宙へぶっ飛んでいく・・・、

 という奇抜な筋書きを土台に、

  その村に住む卑屈ないじめられっ子の少年が
  MATと一緒に怪獣と闘った経験によって勇気を勝ち取る、

 という感動的な物語も展開させ、
 更には最後で、
 “暴力の快感” を覚えてしまったその少年の狂気な一面を見せて、
 人間は決して優しいだけの生き物ではない、という苦い事実をも提示した、秀逸な作品・・・

ではあるのですが、
それは、
あくまでも人間の目線で視聴した場合の話であり、
怪獣(ザゴラス)の目線で視聴したら、こんなにも理不尽でムチャクチャな話はありません。
だって、

 ザゴラス星で心穏やかに暮らしていたのに、
 自身の意思に関係なく、
 隕石と一緒に他所の星(地球)にやって来てしまい、
 それだけでもとんでもない悲劇なのに、
 更には、放射能を浴びて、
 微生物から
 体長が約40メートルで体重が何万トンもある巨大生物に変異しちゃって、
 そのために地球人から迫害され(MATから攻撃され)、
 それでも、
 ザゴラス星の引力のおかげでなんとか故郷へ帰る事は出来るか、と思いきや、
 途中で帰りマンにボコボコにされて、最後は爆死させられてしまった・・・

のですから。

こんな、泣きっ面に蜂の大群のような生涯があっていいものでしょうか・・・。
ひど過ぎます、いくらなんでも。 





  
ザゴラス本人にしてみれば、

 「俺が何したって言うンだ、バカヤロー!」

って、
神様にブチギレたいところだったでしょう。

けど、きっと、
気の小さい、やさしい生き物だったのでしょうね、
あの、MATに攻撃されてへたり込んだような仕草をした際の、

 ショボショボショボ・・・、

という鳴き声(僕には、そう聞こえました)は、
神様にブチギレているのではなく、
只々、己の哀しい運命を嘆き悲しんでいるだけのようでしたので・・・。
 

ホント、つくづく “怪獣” って可哀想な生き物です。

そう思って観ると、
そんな痛ましいまでに悲運な身の上をまったく感じさせない、すっとぼけたような顔をしている事が、
これまた余計に切なくて、胸が締め付けられます。
   


番組放映時に発売されたこのソフビは、
そんな実物の表情が、より可愛らしく再現されていますので、
僕は、見る度に、
憐みの思いを込めて、そっと労わるように抱きしめてあげたくなってしまいます。

ブルマァク製 スタンダードサイズ、全長約22センチ。 
     
 

濃厚な卵黄のような成形色に、こってりと茶色が吹いてあって、
しかも、それが、
イボみたいなのが集まってゴツゴツした皮膚の部分なので、
なんか、
カステラのザラメのところを思い起こさせます。
あぁ、また、
“カステラ風アイスバー” が食べたくなってきた(笑)。





こちらは、
同じくブルマァク製で、ミドルサイズ。全長約13センチ。 
 
    スタンダードサイズの人形を
  そのまま小さく縮めたような、破綻の無い、整った造形ですし、
  尻尾の内側の細かいシワを表した筋も、
  タッチこそ異なりますが、省略せずにちゃんと入っていますので、
  小さいサイズゆえの廉価版人形だからといって手を抜かない、
  原型師の方の真摯な仕事ぶりが感じられます。 
     
       

     
 

イボみたいなのが集まってゴツゴツした皮膚の部分に吹いてあるのが
スタンダードサイズの人形のような茶色でなく、このようなグリーンですので、
こちらは、
抹茶クリームがかかったつぶあん入りカステラ・・・、ってトコでしょうか。
まぁ、
そんなカステラがあるかどうか知らないですけど(笑)、
赤城乳業がアイス化してくれたら、
きっと、また、めちゃくちゃ美味しいンだろうなぁ・・・。

帰りマンも、そんな事を思いながら闘っているようです(笑)。


・・・あれ?
ビーバーに似ている、って事で取り上げたザゴラスのソフビを、
気づけば、
カステラを思い起こさせる、って視点で紹介してますね。

もう、かなり、脳を支配されてしまっているようです、“カステラ風アイスバー” に・・・(苦笑)。





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