真水稔生の『ソフビ大好き!』


第179回 「Oh my God!」  2018.12

前回、網膜剥離になり手術・入院した事を述べましたが、
退院して数日後、
病院から渡された請求書を見て、驚愕。
貯金ゼロの毎月カツカツ貧乏生活をしている僕には、
どう工面しても支払えない額だったのです。
アルバイトを休んでいた分、収入もありませんし、
途方に暮れてしまいました。

ところが、なんと、
現行の或るテレビCMのナレーションの使用期間が契約延長になり、
その分が口座に振り込まれたので、
どうにかこうにか、急場をしのぐ事が出来ました。

我ながら
なんという綱渡りな暮らしか、と苦笑いしながら、

 「あ~、よかったぁ~」

と安堵の胸を撫で下ろしている今日この頃です。


それにしても、
数少ない仕事(苦笑)の中のひとつが、
このタイミングで
契約延長になってギャラが振り込まれるなんて、奇跡としか言いようがありません。
マジで助かりました。

なので、

 やっぱ、神様、っているンだな~、

って思い、
心から感謝・・・

しようと思ったンですけど、
よくよく考えてみたら、
元々、僕の網膜を剥がしたのも神様なわけですから、
お礼を言うなんて、
なんだかアホらしい気もしてきて、ちょっと保留にしています(笑)。


思えば、
神様が与えてくれる幸運、って、
必ず、不運とセットになってるような・・・。

昨日も、
こんな事がありました。

深夜、車を運転中
(・・・あ、
 ものが若干歪んで見えるものの、
 おかげさまで視力は無事回復し、
 ドクターから運転の許可が下りたのです)、
数人の警察官の方々が道路上にいらっしゃって交通を遮断、
前の車に続いて、僕も停められました。

何かと思ったら “飲酒検問” で、
近づいてきた婦警さんに、

 「年末の飲酒運転の取締りをしています。
  私に息を吹きかけてもらえますか?」

と言われたのですが、
その婦警さんが、
グラビアアイドルの金山睦さんに似た、めっちゃ美人で可愛いお姉さんだったので、
途端に気分は薔薇色。
しかも、
僕に息を吹きかけられるのを待っているその婦警さんの姿勢や顔の表情が、
なんだか、
キスをせがんでいるようで(もちろん200%僕の妄想です。念のため)、
ドキドキしてしまいました。

夢見るような気分で息を吹きかけると、

 「はい、大丈夫です。お気をつけて」

と言ってくれた笑顔が、これまた、心をとろかすほどに可愛くて、
もう、まるで、
金山睦さんのイメージDVDでも観てるかのような錯覚に陥った僕は、
婦警さんの隣に男性警官の方が立っていたにもかかわらず、
顔をちょっと差し出し、

 「婦警さんも、僕に息を吹きかけてもらえますか?」

と言ってしまいました(苦笑)。

すると、
それに対して、
当の婦警さんは優しく笑ってくれたのですが、
隣の男性警官はクスリともせず、
黙ったままその婦警さんを引き連れて、
そそくさと僕の後ろの車へ移動していってしまいました。

ムッとしましたね、僕は。
だって、感じ悪いじゃないですか。

 「なんやねん! 不愉快な。
  お前には “心” というものが無いのか。
  
  僕のオヤジギャグ(それもセクハラまがいの(苦笑))に、
  内心では、

   キモッ! ウザッ!

  って思ったかもしれないのに、
  素敵な笑顔を返してくれた隣の婦警さんを少しは見習え、っつの!

  お堅い職業・警察官とはいえ、
  コミュニケーション能力は必要だろ?
  相手の冗談に愛想笑いのひとつも出来なくて、
  それでもお前は社会人のつもりか!?

  たとえ、その冗談をおもしろいと思わなかったとしても、

   あぁ、この人、
   次から次へと他人の口臭を嗅ぎ続けなければならない私たちの
   仕事の辛さ・苦痛を思いやり、
   わざと変態オヤジっぽく振る舞って場を和ませ、
   少しでも明るい気分にしてあげようと、
   気を遣ってくれたンだなぁ・・・、

  って察して、
  ウソでも笑顔を返す、
  それが良識ある大人の所作、ってモンだろ?

  そりゃあ、
  職務中にゲラゲラ笑ってたら不謹慎かもしれないけど、
  笑顔くらい見せろよ、笑顔くらい。
  冗談を言ってるンだから、こっちは。

  百歩譲って、
  その手の冗談がどうしてもお気に召さないというのなら、
  せめて聞いていなかったフリをしろ。
  
  僕と婦警さんのやりとりを見ていて、
  僕が冗談を言った後、僕と目が合って、
  そこからの “無表情で無視” は、明らかに悪意だろ!
  
  警察官が善良な一般市民に悪意なんか向けて、
  いったい、どういう了見だ!?
  税金、返せ、クソターケ!」   

と、長い勝手な独り言(苦笑)を
車内で吐き捨てるようにつぶやきながら、
なんともブルーな気分で、運転を続けた次第。

せっかく美人で可愛い婦警さんのおかげで幸せな気持ちになれたのに、

 やっぱり神様は、
 ただでは幸運を与えてくれないな、

と改めて痛感した、というわけです(笑)。


・・・え?
婦警さんにしょうもない事を言った僕が悪い?
その罰が当っただけ?

う~ん、だとしても、
やっぱ、

 神様が与える幸運と不運はセットになってる、

って事ですよね。
人生、良い事と悪い事の繰り返し(若干、悪い事の方が多め・大きめ(苦笑))です。



さて、ソフビコレクションですが、
今回は、
そんな昨日の出来事から、
“神様” と “警察” という2つのワードが出て
ふと思い出した、
このキャラクターを取り上げる事にしました。 

昭和49年放映の
『仮面ライダーⅩ』に登場した、
GODの秘密警察第一室長、アポロガイストです。 
 
『仮面ライダーⅩ』におけるGODとは、
overnment arkness” の略であり、
日本全滅を企てる謎の犯罪組織ゆえ、
神様の事では
当然ながらないのですが、
初期の怪人が、
ネプチューンとかパニックとかヘラクレスとか、
神話からヒントを得て考案されたもの
(アポロガイストも、“光明の神アポロン” がモチーフ)だったゆえ、
神様とまったく関係無い、
というわけでもありませんので・・・(笑)。



ってか、そもそも、
“GOD” という言葉は、
“神” と訳されるものの、
日本でいうところの “神様” とは、意味や概念が異なるンですけどね。



アポロガイストは、
そんなGODの、怪人たちを監視・査察する役目を負った大幹部ですが、
なんといっても魅力なのは、
Ⅹライダーの宿敵・好敵手である、という役どころ。
いわゆる、
『人造人間キカイダー』におけるハカイダーや
『快傑ライオン丸』におけるタイガージョーのような存在で、
姿形もこのようにカッコよく、
僕ら当時の子供たちには、とても人気がありました。

もちろん、僕も大好きでした。  




 
 
 


このソフビは、
平成14年に発売された、
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズで、全長約17センチ。


 
  平成ソフビゆえ、
実物そっくりで文句無しにカッコいいのですが、
飾って楽しむフィギュアとしてしか、その用途はありませんので、
マルサン・ブルマァク世代の僕としては、
やはり、
番組放映当時に、
Ⅹライダーと闘わせて遊べるソフビ人形として、発売してほしかったものです。
         
   








以前、
第21回「仮面ライダーシリーズの底力」の中でも紹介した、
番組放映当時の仮面ライダーⅩのソフビ。

向かって左側が、
バンダイ製 スタンダードサイズ、全長約25センチで、
右側は、
ポピー製 ミニサイズ、全長約14センチ。
  大小どちらのⅩライダー人形も、
ライドル(普段はベルトにセットされている棒状の武器)を引き抜き、闘う気満々(笑)でありますが、
相手がいなくて淋しそうです。 
   
   
  当時は、
もう、すでに、
多くの子供たちの興味が “仮面ライダー” からロボットアニメに移行していたし、
ソフビ人形という玩具の人気も著しく衰退していたので、
主人公ではなく敵キャラであるアポロガイストの、
スタンダードサイズでの人形化・商品化は無理だったかもしれませんが、
せめてミニサイズくらいは・・・、って思います。 
       
   
   
  これがバンダイ(ポピー)でなく、ブルマァクだったらなぁ・・・。
だって、ブルマァクは、
同時期、
どう考えても売れるわけがない『猿の軍団』の猿たちのソフビを
各サイズにわたり何種類も発売していた無鉄砲で無神経な・・・、
もとい大味な社風の玩具メーカーでしたので、
アポロガイストのソフビ人形も、
絶対に商品化(へたすりゃスタンダードサイズでも)していたでしょうからね。 



ところでそういえば、
打田康比古さんが演じた青年アポロガイスト(白いスーツ姿のアポロガイスト人間体)に、
昨夜の、
僕の冗談を無表情で無視した男性警官、雰囲気がすごく似ていました。
ニヒルで冷淡な感じが、今思えば、そっくりです。

・・・なんか、そう思うと、
大好きだったアポロガイストまで嫌いになりそうなので(笑)、
最後は、
不運の方じゃなくて幸運の方、
青年アポロガイスト似の悪意の男性警官ではなく、
金山睦さん似の美人で可愛い婦警さんの方を思い出して、筆をおく事にします。

いやぁ、ホント、素敵な婦警さんでした。
署内でもモテるだろうなぁ、あれだけ美人で可愛けりゃ。
もう一度、会いたいものです。

どこかでまた会わせてくれないかなぁ、神様・・・。


・・・あ、いかん。
ダメだ、ダメだ。
僕の神様のことだから、
そんな願い事をしたら、
望みを叶えてくれる代わりに
またとんでもない試練や罰を与えてくるに違いありません。

なんたって、幸運と不運はセットですからね。

いいです、いいです、
あの婦警さんには、もう会わせてくれなくていいです。ハイ。
願ってません。望んでません。

以前、『ヤングスーパーマン(『SMALLVILLE』)』を観ていたら、
クラーク・ケントの母であるマーサ・ケントが、

 「クラーク、試練は乗り越えられる人にしか与えられないものよ」

って言ってましたけど、
神様、くれぐれも、
僕を買いかぶらないで下さいね。

僕、これ以上、試練は乗り越えられませんから。
網膜剥離だけで、充分です。
充分、己を戒めております。

明るく楽しく暮らしていきたいので、
冗談を言ったのに
無表情で無視するような悪意を返してくる人との接触も、
もう勘弁して下さい。心が傷つきます。

何か特別な幸運など、厚かましく求めたりしませんから、
これ以上の不運も、どうか与えないで、
静かに、おだやかに、僕を見守っていて下さい。

この世に生を享けた事、
今、生かされている事、
常に感謝の気持ちを忘れず、
真面目に、謙虚に、一生懸命生きていきますので。

・・・え?
冒頭で

 “感謝するのを保留にしている”

って言ったじゃないか、って?

いやいや、神様、
冗談に決まってるじゃないですかぁ~。
冗談ですよ、冗談。



・・・あれ? 無表情で無視?(汗)


 



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